ピアジェ 認知 発達。 ジャン・ピアジェ

ジャン・ピアジェ

ピアジェ 認知 発達

送る 心理学者ジャン・ピアジェ (1896~1980)をご存知ですか? スイスで生まれ育った彼は、生涯に50冊以上の本と500本以上の論文を著し、多くの学者に影響を与えた人物です。 心の発達を研究する「発達心理学(developmental psychology)」の分野で大きな功績を残し、その理論は今や世界中で知られています。 大学で教職課程を修めた人なら、教育心理学の授業で習ったかもしれませんね。 ピアジェが唱えた「発生的認識論(genetic epistemology)」は、学校の教員だけでなく、看護師や保育士を目指す人たちにも学ばれています。 その理由は、子どもが心身をどのように成長させていくかを知ることにより、子どもの発達を支援しやすくなるから。 子ども特有の言動に対して「どうしてそんなことするの?」とイライラせず、その意図を理解して適切に指導することができるようになるのです。 さて、ピアジェの理論を役立てることができるのは、教師や保育士だけではありません。 たとえば、親の意図しない行動を子どもがとったとしても、「この子はこうやって周りの世界を認識し、成長していくんだ」「大人が持っているような能力を、まだ獲得していないんだ」と納得し、肯定的に捉えることができるでしょう。 そこで今回は、心理学者ピアジェの唱えた理論のエッセンスを、できるだけ分かりやすくご紹介しますね。 心理学者ピアジェの人物像 ジャン・ピアジェは1896年、フランスとの国境に近い、スイスのヌーシャテルという街で生まれました。 父親のアルトゥールは歴史学と文献学を修め、ヌーシャテル大学では文学教授でした。 ピアジェはアカデミックな家庭で育ったといえます。 ピアジェは最初、生物学に興味を持っていました。 認識の発達に関する研究者の集まりである「ジャン・ピアジェ協会」によると、ピアジェは11歳のとき、白スズメについて短い論文を書いたそう。 これが研究者としてのキャリアの始まりです。 その後、ピアジェは研究を進めて軟体動物の研究で博士号を取得しました。 ピアジェは精神分析学に関心を持つようになり、フランスで心理学を学びます。 そして1921年、ジュネーヴにあるジャン=ジャック・ルソー教育研究所の所長として招かれ、教育学・児童心理学の研究を進めました。 彼は複数の大学で心理学や社会学などを教えつつ、1955年に発生的認識論国際センターを立ち上げ、1980年に亡くなるまでセンター長として研究を続けました。 私生活においては、1923年に結婚。 3人の子どもに恵まれ、彼らの知的発達を観察したそうです。 ピアジェの「発生的認識論」とは 応用言語学を専門にする大澤真也教授(広島修道大学)によると、ピアジェの発生的認識論において重要な概念のひとつが「段階的発達」だそう。 大澤教授は以下のように説明しています。 これは成人としての最終的な段階に達する前に、子どもは感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期の4つの段階を経るというものである。 発達の速さや達成度合いには個人差があるが、どのような環境であるかにかかわらず子どもはこれら4つの段階を普遍的な順序で経験していくと考えられている。 (引用元:CiNii|) では、子どもの知的発達における4つの段階を順に見ていきましょう。 感覚運動期(sensorimotor stage)(0~2歳) この段階の特徴は、「循環反応(circular response)」および「対象の永続性(object permanence)」だそう。 ブリタニカ国際大百科事典によると、循環反応とは「反応した結果が再び刺激となって同一あるいは類似の反応が反復されること」。 たとえば、ふと何かを触ってみたら感触が面白かったので、何度も触ってみる、といったことです。 次に、対象の永続性について。 たとえば、生まれてまもない子どもの眼前におもちゃがあったとして、大人がそれに布をかぶせて見えなくしてしまうと、子どもはおもちゃがなくなったと思ってしまいます。 しかし、感覚運動期の後半には、布をかぶせられて視界から消えても、子どもはおもちゃがまだそこにあると認識できるようになります。 これが、対象の永続性を理解しているということです。 なおピアジェは、この段階で赤ちゃんの「模倣行動(imitative behavior)」が発達すると論じました。 乳児心理学を専門とする大藪泰教授(早稲田大学)によれば、ピアジェの理論における模倣行動の発展水準は以下の3つに分類されます。 - 手の運動と発声の模倣期(~生後8カ月頃) 自分が見たり聞いたりできる、自分と相手の動作・発声のみを模倣できる。 - 顔の模倣期(生後8カ月~12カ月頃) 前段階と異なり、見ることのできない自分の表情を、相手の表情に近づけることができる。 - 延滞模倣期(生後18カ月~) 相手の動作を記憶し、あとから模倣できる。 前操作期(pre-operational stage)(2~7歳) この段階の特徴は「自己中心性(egocentrism)」と「中心化(centration)」だそう。 大澤教授によると、自己中心性とは「世界を主観的な視点からしか見ることができないこと」。 相手の立場で想像することができず、たとえば自分の知っていることは当然相手も知っているだろうと思い込んでしまうそうです。 また、中心化とは、ブリタニカ国際大百科事典によれば「対象のうち最も目立つ側面だけに注意を集中して、それ以外の部分を無視すること」。 たとえば、口径の広いビーカーに水が入っているとして、それを子どもの眼前で細長いビーカーに移し替えます。 すると、子どもは高くなった水面ばかりに意識が向き、水の量が増えたと思い込んでしまいます。 この思い込みは、中心化という特性によるものです。 また、前操作期の子どもがどう世界を認識するかについて、重要なキーワードが「実念論(realism)」「アニミズム(animism)」「人工論(artificialism)」の3つです。 自分が小さい頃を振り返ってみると、覚えがあるのではないでしょうか。 - 実念論:自分のものの見方が絶対的だと思い込む。 - アニミズム:非生物にも人間のような思考や感情があると思い込む。 - 人工論:自然物も人間が作ったと思い込む。 なお、前操作期はさらに、2~4歳を「象徴的思考期(symbolic function substage)」、4~7歳を「直観的思考期(intuitive thought substage)」と分けることができます。 象徴的思考期の子どもは、もののイメージを作り上げて頭のなかに保存し、あとで取り出して使うことができるようになります、つまり、目の前にないものを思い出し、絵に描いたりすることが可能なのです。 また、直観的思考期の子どもは、経験したことのない状況を説明するとき、絵本のような空想ではなく理性を用いるようになるそう。 たとえば、「家が地面から生えてきた」ではなく、「人間が材料を組み合わせて家を建てた」と言うようになります。 具体的操作期(concrete operational stage)(7~11歳) 英マンチェスター大学で心理学を教えているソール・マクロード氏によると、子どもはこの段階から論理的思考を獲得しはじめるそう。 しかし、抽象的なことや仮定についてはまだうまく考えられず、「みかん」や「机」のように具体的なものにのみ論理を当てはめることができます。 この段階で重要なのは、子どもが「保存(conservation)」の概念を理解できるようになることです。 つまり、容器に入った液体を別の容器に移し替えるなどして、ものの見た目が変わっても、ものの量や数が変わるわけではないことが分かるようになります。 たとえば、10個のおはじきを横1列に並べるとします。 子どもと数を確認したあと、おはじきを円状に並び替えます。 その上で子どもにおはじきの数を質問し、数えるまでもなく「10個」と答えられたなら、「数の保存」という概念を獲得しているのです。 形式的操作期(formal operational stage)(11歳〜) この段階になると、抽象的なものや仮定についても考えられるようになります。 マクロード氏によると、子どもが形式的操作期に入ったかどうかを確かめるには、「ケリーはアリーより背が高く、アリーはジョーより背が高いとしたら、身長がいちばん高いのは誰かな?」のような質問をするとよいそうです。 形式的操作期にいる子どもは、頭のなかだけで考えて答えを出すことができます。 一方、絵を描かないと分からない子どもは、まだ具体的操作期にいるのだそうです。 ピアジェの「構成論」とは ピアジェの理論が説明されるとき、しばしば「構成論(constructivism)」あるいは「構成主義」という言葉が使われます。 「~論」「~主義」という響きは、学術的で難しく聞こえるかもしれません。 簡単にご説明します。 まず、構成主義の反対は「実証主義(positivism)」です。 学習環境デザインを専門とする久保田賢一教授(関西大学)によると、実証主義の特徴は以下の通り。 実証主義の見方では、<現実>は人と独立して世界に実在している。 (中略)そして見つけ出した<現実>を<こころ>に正確に写し取ったものが「知識」であると考えられている。 人の<こころ>は本来空っぽであり、世界に実在する<現実>を<こころ>にコピーすることが学習であり、それを蓄積することで学習が進むと見なされる。 (引用元:J-Stage|) 一方、構成主義の特徴は以下の通りです。 構成主義では、<現実>は人が世界と交わることで構成されると考える。 つまり、人と独立した<現実>は存在しない。 (中略)「知る」とは、人がその<こころ>の中で世界をつくり出す過程に他ならず、その意味でも私たちの住んでいる世界は自分自身によりつくり出されたものである。 (引用元:同上) 教育の場において、実証主義と構成主義の違いははっきりと現れます。 実証主義の場合、教師の役割は、生徒の心に情報を「書き写す」ことです。 教師が生徒に問いを投げかけ、生徒が応答し、それに教師がフィードバックを与える。 この流れを繰り返すことで授業が進みます。 そのため、学習において生徒は受け身の存在だといえます。 一方で構成主義の場合、生徒は「積極的に意味を見つけ出すために主体的に世界と関わる存在」です。 そのため、学習とは「学習者自身が知識を構成していく過程」であり、「共同体の中での相互作用」を通じて行われるものだとされます。 つまり、生徒が能動的に学習できるようにするのが、構成主義的な教育です。 ピアジェの発生的認識論は、子どもが自分のなかで発達段階を形成していくのだと主張しているため、構成主義的な立場をとっているといえます。 なお、発達心理学を専門とする佐藤公治教授(北海道文教大学)によると、ピアジェの「相互作用説(interactivism)」においては、大人との相互作用(互いに働きかけ、影響を及ぼすこと)よりも年齢の近い子ども同士の相互作用が重視されています。 「同じような発達段階にあって、かつ自分とはやや異なった視点や認識の仕方をしている仲間」とメッセージをやりとりすることで「認知的葛藤(cognitive conflict)」が生まれるそう。 発達心理学を研究する林昭志氏(上田女子短期大学)によると、認知的葛藤とは、「いくつかの両立しがたい情報に接したときに、生ずる疑問、当惑、矛盾、驚きのことであり、すでにもっている既有知識と新しい知識の間に一定のずれがある場合に生ずるもの」。 認知的葛藤によって知的好奇心が発生し、物事をよりよく認識できるようになるそうです。 つまり、ピアジェの理論においては、子ども同士のコミュニケーションが認知発達に及ぼす影響が重視されているのです。 ピアジェ理論における「道徳」 ピアジェは、子どもの道徳観にも2つの発達段階があると主張しました。 - 他律的道徳観(5~9歳)(heteronomous morality) この段階の子どもは、道徳とは他人の作ったルールや法律に従うことで、それらは絶対に変えられないものだと思っています。 そして、ルールを破ると厳しい罰を受けなければならないと信じています。 他律的道徳観の特徴のひとつは、行動の意図よりも結果を重視して善悪を判断すること。 たとえば、親が掃除するのを手伝おうと思い、洗剤を大量にこぼしてしまったAちゃんと、洗剤で遊んでいたら少しだけこぼしてしまったBちゃんがいるとします。 他律的道徳観の段階にいる子どもに、どちらがより悪いか尋ねると、Aちゃんが悪いと答えるのです。 - 自律的道徳観(9~10歳)(autonomous morality) この段階の子どもが持つ道徳観は、自分自身のなかにあるルールに左右されるようになります。 また、自律的道徳観の段階にいる子どもは、絶対的な善悪は存在しないことを理解し、他人の視点からも考えられるようになるそう。 他人の意図や状況も考慮に入れ、ルールや道義的責任、罰などについての判断力が大人に近づくのです。 この段階の子どもは、行動の結果だけでなく意図も考慮して判断するようになるため、上記の質問ではBちゃんが悪いと答えるのが一般的だそうです。 2人の心理学者:ピアジェとヴィゴツキーとの違い ピアジェの理論を語る際、よく比較されるのがソビエト連邦の心理学者レフ・ヴィゴツキー(1896~1934)。 ヴィゴツキーは、いまや教育学を中心とした幅広い分野で知られている「発達の最近接領域(Zone of Proximal Development : ZPD)」を提唱したことで有名です。 看護学を専門とする島田智織教授(茨城県立医療大学)および江守陽子教授(岩手保健医療大学)は、ZPDを以下のように説明しています。 ZPDとは、すでに自分ひとりでできる活動と、今は他者の力を借りることで乗り越えられる領域のズレを指す。 このズレは、明日にはじぶんひとりでできるようになるという発達可能性を有した領域である。 端的に表現すると発達ののびしろということになるだろう。 ズレを解消しつつZPDを拡張していくことが学習者の発達だということになる。 (引用元:茨城県立医療大学|) さて、ピアジェの理論とヴィゴツキーの理論の大きな違いのひとつは、上述した「相互作用」についての考え方です。 ピアジェは、子どもの認知発達の過程において、大人との相互作用より子ども同士の相互作用を重視しました。 子どもは友だちとの対話を通し、自分とは異なる考えに触れることで、認知的葛藤を抱えます。 その葛藤を解決することにより子どもの認知が発達する、というのがピアジェの考えです。 つまり、相互作用というのは認知発達のきっかけでしかなく、相互作用が認知発達に直接の影響を及ぼしているわけではないのです。 一方、ヴィゴツキーの理論では、相互作用が子どもの認知発達に直接影響していると考えられています。 佐藤教授の言葉を借りれば、相互作用とは「新しい知識の形成のための情報を提供する場」。 そのため、相互作用の相手としては、子どもに新しい情報をもたらせるような大人・年長者が重視されます。 また、大澤教授の言葉では、ピアジェの理論において「子どもは自分自身で知識を作り上げていかなければならない」のに対し、ヴィゴツキーの理論における子どもは「 ZPDにおいて他人の助けを必要」としており、「最初は他人の助けを借りなければタスクを遂行することができない」ものの、やがて「自分の力で遂行できるようになる」のです。 ピアジェ教育とは ここまで見てきたように、ピアジェの提唱した理論は、さまざまな分野に影響を及ぼしています。 なかでも、ピアジェの考えを特に意識した教育は「ピアジェ教育」と呼ばれています。 愛知県で幼稚園・保育園を展開している学校法人・聖英学園は、同学園の特徴のひとつとしてピアジェ教育を掲げています。 同学園によると、ピアジェ教育とは以下のような教育です。 先生に教えられるのではなく、子どもがあそびの中で自分から働きかけ、その環境の手応えを感じ取り、豊かな刺激を受け取ることによって、子どもは自分自身を発達させていく創造的教育をピアジェ教育といいます。 ピアジェ教育は知識を身に付ける教育ではなく、知恵を出せる子どもを育てる教育です。 (引用元:学校法人 聖英学園|) ピアジェによって監修された教材を用いて幼児教育を行うことが「ピアジェ教育」と呼ばれることもあります。 ピアジェの理論を取り入れた教材を開発・販売している幼年教育出版株式会社は、ピアジェが直接監修した「世界唯一の教材」として「」を幼稚園・保育園向けに提供しています。 ピアジェ理論における発達段階に基づき、子どもが楽しみながら好奇心をもって取り組めるよう、体系的に構成されているそうです。 ピアジェを知るためにおすすめしたい本 ピアジェ自身についてもっとよく知りたい、ピアジェの理論をきちんと学びたいと思ったのなら、どれか一冊、本を通読してみるのがよいでしょう。 おすすめしたい書籍を2冊紹介します。 - ピアジェの理論のエッセンスを簡潔に説明するだけでなく、ピアジェの人物像や、ピアジェの理論がどのように受容されたかなどにも紙幅が割かれており、ピアジェについて全体的に知りたい人には最適の一冊です。 文体が丁寧で分かりやすいため、難解な専門書とは一線を画しています。 - ピアジェ自身による著書を訳したもの。 手にとりやすい文庫本です。 心理学だけでなく、哲学や数学の分野で論じている章もあり、一部は難解。 しかし、発達段階の部分だけでも、提唱者自身の言葉で読む価値はあります。 *** 子どもの発達について考えるなら、ぜひ知っておきたいピアジェの理論。 現代日本における保育や教育に大きな影響を及ぼしています。 親としても、ぜひ意識しておきたいものですね。 (参考) The Jean Piaget Society| CiNii| CiNii| コトバンク| コトバンク| Simply Psychology| Simply Psychology| Simply Psychology| Simply Psychology| J-Stage| J-Stage| MentalHelp. net| MentalHelp. net| Southwest Psychometrics and Psychology Resources| 北海道大学学術成果コレクション| 茨城県立医療大学| 学校法人 聖英学園| 学校法人 聖英学園| 幼年教育|.

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ピアジェの認知発達理論とは (Piaget’s Cognitive developmental theory)

ピアジェ 認知 発達

ポイント は、 認知の発達段階を、 感覚運動期、 前操作期、 具体的的操作期、 形式的操作期に区分した。 感覚運動期 (0〜2才) 感覚と運動を通した外界への働きかけを繰り返し(第一次〜三次循環反応)、シェマの同化と調節、均衡化を通してシェマを変化・協応させていく時期。 対象の永続性や対象に意図的に働きかけを行手段-目的関係が成立する時期。 (知能の芽生え) 対象の永続性(object permanence):対象が視界から見えなくなっても存在し続けることを認識すること。 生後8ヶ月くらいから成立する。 前操作期(2〜7才) 前操作期:前概念的思考段階(2〜4才) 対象や行為などが心の中に内面化され、象徴(シンボル)機能を持ち、心的イメージとして発展していく時期。 まだ概念的思考(個とカテゴリーなど)はできない段階。 前操作期:直感的思考段階(4〜7才) 内面化された象徴機能により心的イメージを用いた思考や言語が発達し概念化が進む時期。 個とカテゴリーの識別も可能になり概念的思考による直感的理解や判断が可能になる。 しかし思考は一面的で見た目に左右される。 可逆性や保存の概念が不十分(自己中心性)。 (animism):命のない事物を、あたかも命があり、意志があるかのように、擬人化して考える傾向のこと。 自己中心性(ego-centricity):自分自身の視点を中心にして周囲の世界を見ること。 買い物)」が出来るようになる。 可逆性や保存の病念が不十分:物の数量はその形が変わったとしても、同じままであるという理解が出来ず、一部の目立った特徴だけ見てしまう。 主体客体の未分化(自己中心性)で他者の視点がない。 具体的操作期(7〜11才) 階層的な概念構造の形成が進み、目の前にある具体的な事物であれば心的イメージと概念を用いた論理的な思考(操作)ができるようになる時期。 自己中心性の減少とともに見た目に左右されずに多面的に物事を捉えることが可能となり可逆性や保存の概念も成立する。 また他者との相互作用の中での思考も可能となる。 しかし「もし〜なら」などといった仮説を前提とした思考(仮説演掃的推論)はまだできない。 保存(conservation):形を変えても対象の性質(重さ、量など)は変化しないことが理解できること。 操作(operation):目の前で起こっていないことを、心の中で表象を用いて行う論理的思考のことをいう。 例えば「3個のみかんと2個のりんごを足す」という計算を、実際にみかんとりんごが無くても想像してできること。 三つ山課題(three mountains task):が子どもの空間認知能力を調べるために開発した課題、立体的な山の模型である。 この模型を子どもにいろいろな方向から見せて、その形や大きさを答えさせる。 まだ前操作期の子どもでは、自分の側から見えた光景と、別の方向から異なった見え方をする山とが、同じものであることを認識できない。 これを指して、認知がまだ自己中心的であるとした。 形式的操作期(12〜才) 具体物や場面でなくとも抽象的な命題の概念操作によって論理的な思考が可能になる時期。 「もし〜なら」などといった仮説を前提とした思考(仮説演掃的推論)や組合わせ推論、比例概念などの科学的・実験的な論理思考ができるようになる。 によれば、発達は進化の過程になぞらえることができ、子どもが外界と相互作用しながら、知識識を身につけていくとされる。 が唱える幼児期の認知的特徴である自己中心性が認められるときには、無生物と生物を混同する的思考が起こるとされる。 の発生的認識論では、泥団子をお問頭に見立てて遊ぶことができるのは 前操作段階に入ってからある。 確認問題 [1] Piaget、J. が提唱した認知発達説において、言語や記号を使った抽象的な論理的思考が可能となる段階は( )期である。 (大学院) [2] J. は、児童期に見られる思考の客観化として、(1)を挙げた。 これにより人は、物事を自分の見方や立場から離れていくつかの側面から考えることが可能になる。 (大学院) [3] Piaget、J. は認知の発達段階を順に感覚運動期、(3)期、(4)期、形式的操作期に区分している。 (大学院 改題) [4] 以下の1〜3に入る最も適切な言葉を語群から選びなさい。 は1歳半頃から( 1 )にかけての時期を( 2 )とし、この時期の子どもの認知的制約を示す特徴を( 3 )とよんだ。 これは自他が未分化なため、自分の視点や経験を中心にして物事を捉え、他人の視点に立つことが難しいことを指している。 感覚運動期 2. 形式的操作期 3. 前操作期 4. 具体的操作期 5. 3〜4歳 6. 6〜7歳 7. 9〜10歳 8. 自己中心性 9. 脱中心化 10. 自己意識 大学院) [5] 認知発達とは同化と調整の均衡化によって、認識の枠組みが変化していくことだと考えた、心理学者の人物名で正しいものを一つ選びなさい。 Lev Semyonovich Vygotsky 2. Anna 3. Melanie Klein 4. John Bowlby 5. Jean Piaget (大学院) [6] ( )に入る語を答えなさい。 「課題」や「三つ山の課題」と呼ばれる心理学実験では、いまだ自己の視点を相対化することができす、他者の立場場に立てない幼児期の特徴が明らかにされている。 (Piaget、J. )は、幼児期に見られるこうした社会性の欠如を ( )という概念で示している。 (大学院) 解答 [1] 形式的操作 [2] 脱中心化 [3] 3. 前操作 4. 具体的操作 [4] 1、6 2、3 3、8 [5] 5 [6] 自己中心性 a-m-zyozo.

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赤ちゃん・子供の認知機能(思考)の発達段階(ピアジェの発生的認識論)

ピアジェ 認知 発達

近年の児童・青年の認知発達の研究に対し最も大きな影響を与えた学者ピアジェの中心思想は、子供は最初一貫した仕方で環境に対して反応はできないが、次第にそれに対して自ら働きかけることによって世界の認識を形成していく、というものである。 それ故、ピアジェの立場は「構成主義」と呼ばれる。 ピアジェは、知能は単に外から経験を注入することのみでは発達せず、発達は成熟によって自然に生じるものとも考えてはおらず、発達の段階によって本当に学習できるものとできないものがある、と考えている。 ピアジェの認知発達理論について、具体的に考察すると、ピアジェは知能の発達を次の4つの時期として画することができると考える。 ピアジェは、この感覚運動期を1.反射の訓練、2.最初の習慣 第一次循環反応の成立、3.視覚と掴むことの協応・第二次循環反応の成立、4.獲得したシェム間の協応と、それらの新事態への適用、5.第三次循環反応によるシェムの分化と新手段の発見、6.シェムの内面化の始まり、と試行によらず洞察による問題の解決、の6つの段階に区分した。 2,「前操作の時期」(2~7歳)・・・この時期では、何物かを別の何物かによって表現する象徴作用(内面化)が現れる。 例えば「ごっこ遊び」は、何物かを別の動作によって表現することであるが、思考はなお自己中心的である。 この時期は、思考は操作的性格を持たない。 これは、いわゆる保存の実験によって確かめられる。 また、この時期は、第1段階と第2段階に分けることができる。 3,「具体的操作の時期」(7~12歳)・・・この時期に至って初めて保存も成立し、可逆的操作も行えるようになる。 また、自己中心性から脱し、もろもろの科学的推理と論理的思考も構造化してくる。 しかし、思考はまだ具体的であることを免れない。 これもまた、第1小段階と第2小段階に分けることができる。 4,「形式的捜査の時期」(12~13、4歳)・・・この青年期の初め、思春期に入って、子供は一段と高い形式的・抽象的思考が行えるようになる。 そして「もし~ならば~であろう」といった仮説演繹的思考も可能になる。 また、ピアジェは知性だけでなく道徳の発達においても出発点になっている。 ピアジェは、道徳性の発達は基本的には一般的な知的発達と何ら変わる所がないと仮定する。 そして、道徳的行動は他律的なものではなく、自由に裏付けられた自立的な判断によって起こると考えている。 この立場は、道徳性の発達は文化・社会を超えて普遍的に存在し、その発達は一定の水準と段階を通ると考えるのである。 次に、ピアジェのいう道徳的判断の発達について、ピアジェは道徳性を「全ての道徳は規則の体系から成り立っており、全ての道徳の本質は、当人がその規則に対してどれだけ尊敬を払っているかという点に求められねばならない」と述べる。 「規則の実践」は、純粋な運動的・個人的段階、自己中心的段階、初期共同の段階、規則性制定化の段階、の4段階を進むとした。 また、「規則の意識」については、個人的段階、規則を絶対的なものとみなす段階、規則を同意に基づく法律と考える段階、の3つを区別している。 最終的な自立の道徳の段階は大体12歳頃に達するとピアジェは考えた。 次にフロイトの性的発達理論について、フロイトは性欲を単一のものと考えず、いくつかの部分から成り立つと考えた。 その部分本能が身体の発達と共に次第に現れて、ついに性欲として統一されれば正常であり、その発達過程に大きな障害があった場合は異常性欲となるのである。 そしてフロイトは、子供は生後から5~6歳までの間に、いくつかの発達段階を経て発達し、この間にパーソナリティの基礎が作られると考えた。 これらの発達段階は、本質的には性的な性格を持っているとする。 それらは、口唇期、肛門期、男根期、という3つの前性器段階であり、それに続くものは長い潜伏期と思春期になって成立する性器期である。 口唇期・・・生後一年目に現れる時期である。 母親の乳房を吸う、歯が生えてから噛む、などのことが快楽の中心となっている時期であり、この欲求が満たされないと、将来、甘え・依存心・嫉妬心の強い、いわゆる「口愛的性格」となる。 肛門期・・・生後二年目から3~4歳までの時期である。 排泄によって肛門に与える刺激に快感を覚える時期であり、この頃子供は排泄の訓練を親から受ける。 排泄を堪えることが固着すると、倹約・頑固・所有欲、などの性格特性が形成されるとする。 男根期・・・3~4歳から5~6歳の時期。 性器を弄ぶことで快感を覚え、性差を意識する時期とされる。 女児の場合、男性性器に対する羨望を感じるとフロイトは考える。 ここでは、いわゆる「エディプス・コンプレックス」、つまり異性の親に対する性的欲望を解消する試みとして、男児は父親のように偉大になりたいとして父親の規範や価値を取り入れ、超自我が形成されてくる。 フロイトの発達理論が、親子間とその葛藤を通じてパーソナリティ形成の重要性を主張し、人間形成に及ぼす初期からの人間関係の重要さを強調したことは、彼の功績であり、後の親子関係論、パーソナリティ発達の考え方に大きな影響を与えたと考える。 しかし、彼が性的モチーフを強調し過ぎており、またそれを禁止する「ヴィクトリア時代」の道徳の影響を受け過ぎているとの批判もある。 また、今日、実証的に見て、一般化することのできないデータ・考えを含んでいるとも批判されており、ここはピアジェの認知発達理論の支持が妥当であると思う。 なぜなら、ピアジェの研究は、極めて多量であって、その研究領域も広範囲に渡っており、赤ん坊や児童を対象とした研究は児童心理学や発達心理学の分野だけでなく、教育心理学や認知心理学など、多くの分野に影響を与えているからである。 現代においてもピアジェ学派による道徳性の発達研究が行われて、ピアジェの見解が支持されている。 さらに、この認知発達理論は、現代の医学においても認知運動療法などに役立っている。 認知運動療法を考える場合、この思考の発達が身体の存在意味の変化と表裏一体であることを認識しておく必要があり、患者の病態把握分析や治療方略においての分析基準となることも重要である。 また、セラピストには、常に認知発達という視点からの患者の身体運動を解釈する能力が問われる。 そして、そのセラピスト自身の能力もまた、ピアジェのいう認知発達段階に準じている所に、この壮大な理論の普遍性があるように思う。

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