愛 を 止め て 僕 から 逃げ て 否定 し てい いよ 全部 全部。 [mixi]第二部 後半

[mixi]第二部 後半

愛 を 止め て 僕 から 逃げ て 否定 し てい いよ 全部 全部

僕は自転車をこいで光市へ向かった。 僕は、尊敬する松村先輩を批判し、そして怒らせてしまった。 僕はあの葬式の日いらい1週間もの間、松村先輩を待っていたけど、松村先輩は僕のもとに来てはくれなかった。 いつもの松村先輩なら、豪快に、「春樹、そやな、まぁいろんな事はあるわな、でもな、やっぱ自分の正しいと思った事を信じて頑張らなアカンで!池田先生もそういっとったしな」と明るく僕を許してくれたはずなのに。 僕は部屋でただ一人とじこまったままで、松村先輩の迎えを待っていた。 しかし、そんな事をしてても何の解決も無い。 「そうじゃ、自分で動かんにゃぁ何も変らんのんじゃ!!」 僕は自転車をこいで必死に光市へ向かった。 何年ぶりだろう。 この道を、この峠道を走って僕は毎日田布施から光市の高校へ毎日通っていたんだ。 走馬灯のように思い出す、僕の高校時代の思い出。 高校時代、僕は憧れの正義の松村先輩の背中を追っていた。 そうなのです。 僕と松村先輩は同じ日蓮大聖人の教えを実践し、池田先生とともに戦っていく正義の男なのです。 深い絆で結ばれているのです。 僕は涙が出てきたのです。 僕は松村先輩を追い、追いつき追い越し、松村先輩を超えるのです!!そう思うと、僕は必然的に足に力が入り僕は全力で自転車をこぎ続けたのです!! 「そうじゃ!松村先輩!!僕は間違っていたのです!!僕は松村先輩に正々堂々と挑み、共に戦い、そして教学と信心を貫き、そして池田先生と共に正義の為に戦い勝利するんですぅぅ!!」 僕は絶叫をあげ、峠道を走ったのです!! 1時間後、僕は光市浅江にある、松村先輩と僕が過ごしたアパートへたどり着いた。 「松村先輩!!僕は、僕は松村先輩を超えるんじゃーーーぁぁ!!」 僕はそう叫びながら、玄関のドアを開けた。 なぜ、その言葉が出たか僕にはよくわからなかったが、なぜか、その言葉が僕の口から発せられた。 なんとなくそう叫んだ僕は自分がカッコよく思えた。 しかし、そこに松村先輩はいなかった。 ショッキングピンクに渋く決まった松村先輩のシャコタンソアラは裏の茂みにちゃんとおいてあるのに、、松村先輩はいなかった。 僕は、自分で自分をカッコイイと思った次の瞬間、なんだか一人芝居をやっているようで、一人で赤面してしまったです。 僕は松村先輩の帰宅を待った。 この虹が丘から歩いていける範囲と言えば、団地の入り口にあるローソンか、セブンイレブンか、池田記念会館くらいしかありません。 もしかしたら光ヶ丘高校の向かえに出来たジャスコにいってる可能性もありますが、ここで僕がうろうろしても始まりませんので、松村先輩の帰宅をまつことにしました。 思えば僕が素晴らしいアムウエイと共に松村先輩と再会し、松村先輩のアパートへ居候させてもらって1年がたったのです。 あの頃描いた僕の1年後、そう、今です。 今ごろはみんなで成功し南の島でクルージングするはずだったのに、何が何処で歯車がずれてしまったのか、僕には一向に成功の兆しが見えません。 唯一の僕の下についてくれた素晴らしい仲間たちも哲さんから紹介してもらった人達ですし…。 僕には才能が無いのだろうか?松村先輩は正義の人だからあんなに頑張り多くの仲間を集め、哲さんにしてみればすでにダイレクトディストリビューターに昇進し、僕たちのグループのリーダーとして君臨しています。 僕はどうして、どうして、成功出来ないのか? 頭の悪い僕には良く分からないのです。 信心が足らないのしょうか? 僕は何気なく松村先輩が日頃から大切にしている太鼓を手に取った。 この太鼓は先代夜叉のリーダーのカズさんのおじいさん(立派な皮職人です!!)が昭和27年のキジア台風直撃で島田川が決壊し、家が流れた時に唯一助かったいわく付きの太鼓なのです。 僕は松村先輩を真似て太鼓を叩いてみました。 テケテンテケテンテケテンテケテン… 僕は何故か目に涙が溜まってきました。 松村先輩とのあの日の思い出。 僕が逃げ出した時、松村先輩はこの太鼓を叩きながら僕を追いかけてきてくれた。 僕はあの時、逃げ出しながらも、心の中できっと松村先輩が僕を迎えに来てくれると信じていた。 そして松村先輩は僕を迎えにきてくれた…。 あの時、僕は松村先輩の厚い胸の中で、泣いた。 僕は心の何処かで他人に依存し、そして他人が僕を救ってくれるものだと感じていたのかもしれない。 でも、それではいつまでたっても自立出来ないんだ。 テケテンテケテンテケテンテケテン… ああぁあぁん、もう、目が潤んで太鼓がはっきり見えないのですぅう! そのように僕が感傷に浸っている時、トイレが「ジャーーー!」と流れる音がした。 「ま、松村先輩??!」 松村先輩はいたんだ!それもトイレに!!ちゃんといてくれたんだ!! 僕は嬉しさのあまり立ち上がり、そしてトイレに向かった!! 「松村先輩!!、お、俺!こんどこそ頑張るけー!!絶対に成功するけーーー!!」 僕は声を張り上げて言った。 すると中から声が聞こえた。 「お、春樹、なかなかエエ心がけやな。 レッツビギンやでぇ!ポジティブや!!」 トイレのドアが開いた。 上半身裸で、下半身は赤いフンドシ姿で不敵な笑みを浮かべた男がたっていた。 いうまでもなく、その赤フン男の正体は「哲さん」だった。 「松ちゃんなぁ、俺のBMWに乗りたいゆうねんでぇ。 しゃぁないから貸したったんや。 萩行くゆうててん。 帰ってくるの明日やろうなぁ」 僕の目の前にいるのは哲さんだった。 どうして?どうして哲さんが此所にいるの?ああぁあん僕にはぜんぜん解らないのですぅ!! 「松ちゃんなぁ、ソアラの調子悪いゆうねんでぇ。 ほんでなぁ、次はインフィニティQ45にするゆーててん。 アカンでぇ。 やっぱ外車やでぇ。 アムウエイの成功の証はやっぱBMWやでぇ。 関西じゃ常識なんやでぇ。 なぁ、春樹、そう思わへんか?」 僕は頭が混乱した。 目の前にいるのは、レイプマンの哲さんなのです!僕のいとこの英姫を汚して僕も汚して行方をくらませていた哲さんなのでよ!!僕は混乱する頭を落ち着けようといろんな事を考えた。 一つ一つ頭を整理して、言いたい事を一つ一つ口に発する事にした。 「て、哲さん」 「なんや、どないしたんや、カルシウム足らへんのか?カルDならあるでぇ」 「ち、ちちち、違うんですぅう」 「なんや、ビタミンか?ほんなら、アセロラCやでぇ。 アムウエイ専用農場で作られた有機栽培や!」 「そそそそ尊師じゃなかった、そんなんじゃないんですぅ!」 「ちゃうねんか?わからへんなぁ、ニュートリちゃうねんか?」 「そそそ、そうなんですぅ!!」 「なんや、SA8の洗浄能力が解らへんのか?」 「ちがうんですぅ!!洗剤なんかじゃないんですぅ!!」 「ははぁん、長野オリンピックやな、アムウエイ親善大使に中島薫ダブルクラウンアンバサダーDDが選ばれた事アマグラム見て知ったんやな?」 「あ!そうなんですか!!すっすごいんですぅ!!あ、ああぁん、そんなんじゃないんですぅ!!」 「あ、ちゃうねんな、ほんなら何か?浄水機とトリハロメタンの実害について詳しく知りたいんやな?エエか、トリハロメタンっちゅーのは発癌性物質でなぁ煮沸してもなかなかなくならへんねん…」 「ちちちがうんです!!あぁああぁぁん、そんなんじゃないんですぅぅってばぁぁ!よよよよよよ、ヨ、ヨンヒです!!ヨンヒの事なんです!!」 やっとの思いで、僕は英姫の事を哲さんに伝える事が出来た。 哲さんは英姫と聞いて沈黙した。 「あぁ、お前のイトコの女やなぁ、俺な、彼女にアムウエイの素晴らしさを伝えたんや。 でもな、彼女いややゆうたんや。 そやから、どんなにエエか体で教えたろう思ってな…」 「レイプしたんですか!!」 「ちゃうでぇ。 レイプちゃうでぇ。 そんなんちゃう。 でもなぁ、あの女、むっちゃエッチやでぇ」 嘘だ!嘘だ!嘘だ! 英姫の涙は本物だったんだ!!英姫は哲さんにレイプされたんだ!!僕は哲さんに刃向かった! 「絶対に違うっちゃーー!!英姫は泣いちょったんじゃーーー!!」 僕は絶叫した。 哲さんは絶対に英姫をレイプした。 絶対にそうだ。 そうでなければ英姫は泣きはしなかった。 哲さんは嘘をついている。 この期に及んで僕を騙そうとしている。 お母さんも言っていた。 「騙されちゃいけんよ。 」 片岡くんも言っていた。 「上野くんは騙されちょるんっちゃ。 」 みんなは知っていたんだ。 僕がお人好しで単純で直ぐに騙される単純な男だと言う事を。 そんな忠告を僕はちゃんと認識せずただ単に人に流され続けてきた。 そうだ!!絶対に哲さんは僕に嘘をついている!! 「哲さんは俺を騙そうと思っちょるんじゃ!!英姫は哲さんにレイプされたんじゃ!!」 すると哲さんはニヤっと笑って、赤いフンドシを降ろし素っ裸になり僕の前に立ちはだかった。 そして赤いフンドシを手にとり、頭に巻いてはちまきにした。 そして僕の顔を見て言った。 倒れる瞬間、僕はテーブルで左脇のあたりを強く打った。 また、服はボロボロに破かれ、ズボンも靴下も無理やり外されてしまいった。 のしかかってきた哲さんを押し退けようとするが、脚も腰もオモリを付けたように重く、はねのけることなど、とてもできなかった。 哲さんは、まるで、狙った獲物に向かって一直線に進む、ケダモノそのものだった。 「あぁあああん、て、哲さん!や、やめてくださいぃぃいぃ!!」 「なにゆーてんねん!!今更!!俺が素晴らしさ教えたるゆーてんやから、おとなしくせなアカンで!!怪我するでぇ!!」 哲さんはそういって、何処から取り出したかローションオイルを僕の肛門に注ぎ込んだ。 そして次の瞬間、哲さんの大きくエレクトしたアレ(どおくまん砲)が!! 「い、いたい、いたいたたたたいたたたたた!!て、哲さん、い、痛いんですすぅ、!!!」 哲さんは僕をはかいじめにしたまま僕の背中で激しく動いた。 僕は激痛に悶え苦しんだ。 「は、はるきぃぃっぃ!!ええでぇ!ええでぇ!これやで!!これこそアムウェイの醍醐味やで!!」 僕の背後で哲さんは、ハッハッといいながら、僕の中で激しく動いた。 そして、哲さんは僕に素晴らしいアムウェイのセールストークのロールプレイを行いながら、 「どうや、春樹ぃ、中島薫の取り巻き連中は全部、独身男やろ?薫のトークかて、おかまそのものや!はぁはぁ、こうやってな、俺らアムウェイディストリビューターは、俺らだけの秘密の行為をし、これは俺らの内緒として俺らの心の中で共有していくものや!こうやってなぁ、はぁ、、はぁ、、俺らは仲間意識を深めてなぁ、、、」 「て、哲さんの、、い、いたたた、い、言ってることがわからないのですぅうぅ、、」 「春樹ぃ、おまえ等学会員の仲間意識っちゅーもんは、何やぁ?ともに共闘し、教学し、自分らをお互いを高めるためうゆえに閉鎖的組織にのめり込んでいくことやぁ、、アムウェイも同じやでぇ、でもなぁ、はぁ、はぁ、はぁ、肉体関係程、後ろめたく、それでいて強い仲間意識はあらへん、、はぁ、はぁ、これが、アムウェイ流の仲間つくりやでぇ、、はぁ、はぁ、、ほんまやでぇ、、みんな、みんな、そうやって成功しとるんやでぇ、、はぁ、、はぁ、、ジャニーさんもやっとるんや、それになぁ、はぁはぁ、、同じやでぇ。 、、」 「い、いたたた、そ、そんなの、、、言い訳じゃないですかぁ、ぜんぜんわからないのですぅ!!」 「春樹ぃ、はぁはぁ、、お前は俺の事を誤解しとる思うねんけどな、、、はぁ、はぁ、、この行為自体、決して俺の欲望のままに動いとる事違うっちゅーことは理解して欲しいんや!! エエか春樹ぃ、人間が本当に人間らしゅう生きていくには、そして、人間同士が仲ようアムで成功して行くには、独りよがりな信じる考え方、自分の考えを正しいと決めつける考え方をはずさんとあかんねんで!、はぁ、はぁ、はぁ、、世界一の複合メガロ地域の関西の常識は世界の常識である事はアメリカ人かて大阪きて大阪弁覚える事からも事実なんやけど、はぁ、はぁ、、例えば、春樹ぃ、、、お前は俺のことを「ゲイ」やとか「獣姦可能の変態」とか思ってんちゃうか?」 「そ、そのとおりじゃないですかぁ!!いたい、いたいのですぅ!!あぁ!!」 「そりゃ、ちゃうねんでぇ、、はぁ、、はぁ、、春樹ぃ、、、信じないで、 疑わないで、 決めつけないでやってみる、、必要がるねんでぇ。 」 「??」 「俺のこの行為、つまり、ちんちん電車はそのような自由自在な考え方への転換をはかる場なんやでぇ。 、、はぁ、、はぁ、、ちんちん電車の行為そのものを既存のカデゴリーであえて分類するとしたら、それはモーホーやアナルセックスといったアブノーマルSEXに部類に属するものや。 、、はぁ、、はぁ、、はぁ、、、でも、でもなぁ、、それだけや無いんやでぇ!」 「ち、ちち、違うのですか!」 「そうやでぇ、春樹ぃ、おまえは物分りがエエやつやからすぐわかるやろうけどなぁ、、はぁ、はぁ、、ちんちん電車は、人の考え方を快楽的に引き出して固定するマインドコントロールではないねんでぇ、、はぁ、はぁ、、。 逆に、アブノーマルSEXはあかん言うマインドコントロールされている自分に気づきなぁ、、ああぁあああ、、、、は、春樹ぃ、、、イクでぇ!!!春樹!春樹!!春樹ぃぃぃ!!!うっ!!、、、、ふぅ」 哲さんは、イく瞬間に、僕の肛門から哲さんのあれを抜き、思いっきり僕の顔を目掛けて射精した。 そして、哲さんはスッキリした笑窪の深い笑みを浮かべ、僕にさらなる説明をはじめたのです。 「エエか?春樹、、自分の常識=社会一般の常識=自分の思いこみ=ちゃうんやないかぁ?からな、アムウェイ=ねずみ講=自分の思いこみ=ちゃうんやないかぁ?と言う事を引き出すんやで!。 人がな、マインドコントロールされやすいもののひとつに常識があるねん!人は、この常識通り行動すれば、社会に認められてな、一見、社会的秩序が保たれているように思うねんで!でも、常識は何処でも同じもんではないで! まぁ、敢えて例をあげるなら、関東と関西の共通の常識言うたらディズニーランド=楽しいだけやなぁ。 東京モンがドス黒いうどん食べてもそれがやつ等の常識やけど俺にとっては非常識やねん。 解り易いやろ。 現時点でも、世界中にいろーんな「常識」が存在しとるんや!。 「自分の常識」なんて変化していくもんなんやでぇ。 しかし、リストラ=即失業とかなぁ、固定化された常識は、時としてわれわれを不安にするねん。 そこで、俺は、固定化している常識から皆を解放すべく、ちんちん電車で、日常の行動規範を振り返ってみてほしいんや!。 」 そう、言い放ち、哲さんは、すばやく服を着て 「じゃ、これからまた、アムウェイの素晴らしさを伝えにいってくるで!!とりあえず、光駅裏の創価学会会館あたりに突撃してくるでぇ!!」 と威勢の良い声をあげ、部屋から飛び出していったのです。 僕は、哲さんの言っていることが100%出来たとはいえません。 しかし、哲さんはその肉体をもって、既存の固定観念の打破がアムウェイのさらなる普及につながると確信し、アムウェイ活動の潤滑化と活性化の為に、肉体関係を結んでいたのです。 僕は、肛門がひりひり痛く出血しているのですが、しかし、哲さんの男気に深く感激したのです。 もう、この感動は池田先生のスピーチを聖教新聞で読んだ時と同じくらいの感激なのですよ!!!あぁ!哲さん、僕はまた哲さんを疑ってしまっていたのです。 英姫の涙も、きっと哲さんの理念に感激して流していた涙なのですよ!!もう、絶対そうなのですぅ!!(でも、従姉妹とはいえ、栄姫とセックスしたのはうらやましいぃ!!) 哲さんの言う「ちんちん電車」という肉体関係の通過儀礼行為は、決して哲さんの欲望のままに行動している訳ではないことは、アタマの悪い僕にでも理解できたのです!! そういえば、池田先生もおっしゃいました。 「朗らかな、暖かい、聡明な人間と人間のつながり。 これが信心の世界である。 冷たい組織主義では大勢の人はつかない。 ・・・。 ゆえに指導者は常に、明るい、納得できる、朗らかな雰囲気を作っていただきたい。 そうでなければ、人は去ってします。 」 哲さんは、ちんちん電車というアブノーマル行為の中で、アムウェイDTという組織体系の中に、新しい秩序と常識、そして、分け隔たりの無い素晴らしい明日の成功を夢見て、僕に体を張って教えてくれたのです。 そうなのです。 こういう発想の転換、ブレークスルーこそが、世間のアムウェイに対する偏見の打開、そして素晴らしい成功への世界への誘いとなるのは間違いの無い事実なのですよ!! -------------------------------------------------------------------------------- 次の日、松村先輩が戻ってきました。 哲さんも朝までどこかでアムウェイの素晴らしさを伝えまくっていたらしく朝方に、目の下にくまをつくっておきながら、「プロスペクトは豊富やで!」とうれしそうに語っていたから、きっと大盛況だったのでしょう。 まぁ、素晴らしいアムウェイですから、大盛況なのはあたりまえですけどね!! 僕は久しぶりの松村先輩との対面にしどろもどろになっていましたが勇気をもって松村先輩に話し掛けました。 「ま、、松村先輩、、、お、、おひさしぶりなのですぅ、、また、まま松村先輩と頑張ってい、いい、いきたいので、、、、」 どうしましょう!緊張してうまくしゃべれないのですよ!!でも、そんな僕にたいして池田先生クラスの心の広い松村先輩は笑顔で僕を迎えてくれたのです! 「春樹、よー帰ってきたなぁ。 俺は春樹の、絶対に勝利してやるっちゅー気質を信じて、あえてほっといたんや。 おかえり、春樹。 」 「ま、松村先輩、、、、」 「そうやで、春樹、勝利やで!アムウェイで成功し、学会活動にも精進し、よき民衆の手本となる事が俺らの命題やで!そして財務を収め、池田先生をはじめとしたわれらの創価学会は敵対する嫉妬団体と戦い勝利するんや!春樹ぃ!!今までのことは全部水に流してな、これからが本当の広宣流布の真の戦いが始まると思えばエエんやで!!」 「は、はい!!」 僕は涙がこぼれてきました。 本当の所、僕はもう、松村先輩と打ち解けることはないと思っていたのです。 でも、松村先輩はそんな小さなことにこだわらず、僕を受け入れ、そしてすべてを水に流して、さらなる戦いに共闘し勝利していくことを誓ってくれたのですよ!あぁあ!!もう、松村先輩は最高なのですぅ! そんな僕と松村先輩の姿を見た哲さんは、僕らに 「ほな、また、機会あったらくるわ。 明日は西中島でミーティングやねん。 すぐに高速乗って帰らなあかんねんな!八本松の大井ちゃんにもフォローはいれといたるから、安心しててエエんやで!!」 と言って、松村先輩からBMW325iを返してもらい、一目散に消え去ったのです。 しかし、哲さんは帰り際に僕に熱い視線を投げ 「春樹、ちゃんとわかったやろ?本当の意味がな!続きは奈良の新今宮やでぇ!!まっとるでぇ!!」 と言って消えました。 その日の夜は、僕は松村先輩と暮らしてきたアパートに戻るために荷物も大方もってきました。 松村先輩は僕が帰って来た事を夜叉の皆さんにも伝え、皆さんは僕のためにアムウェイ鍋パーティーをやってくれたのです。 その日は僕らは、みんなで、「アムウェイの素晴らしさ」と「池田大作先生の素晴らしさ」について、外が明るくなるまで、熱く語りあいました。 やはり、アムウェイと池田先生は、語れば語るほど、素晴らしい事ばかりで世間の嫉妬する連中が思うような悪い点など、まったくと言っていいほど見当たらないのですよ。 あぁ!素晴らしいぃぃぃ!!もう、僕は興奮の坩堝になったアムウェイ鍋パーティーで涙が止まらなくなり、僕らは、池田先生の写真に向かって法華経の大合唱をしたのですよ!! そんな興奮の中、僕の尊敬する松村先輩は、素晴らしいアイデアを僕らに提案してきました。 「なぁ、俺ら、アムウェイはじめて、そろそろ1年やで!!そろそろな、本気になるとかそういうレベルやなしにな、本当の本気っちゅーのを世間の人にアピールせなアカン思うねんな。 世の中の大衆、そう、特に非学会員なんて特にそうやけど、3流マスコミのマインドコントロールで真の事実をぜんぜんしらへん訳や。 そんなのはアカン、アカン思うねん。 そやから、俺はこういうビラを作ってみたんや!」 と言って、哲さんから伝えられた正しいアムウェイの知識と、粗悪製品を電波を使って広めているP&Gの批判文章でした。 「これをな、徳山駅前でみんなに配ったり、聖教新聞といっしょに家庭のポストに投函して、アムウェイの素晴らしさを、アムウェイ以外の企業の悪態ぶりをより多くの人に広めなアカン思うんや!みんな、協力してくれるな?正しいことをやることは、正義であり、しかし、間違った事を目をつぶるのは悪であると、池田先生もゆーとったしな。 俺らはこれでさらに成功するんやで!!」 ああぁ!!松村先輩はやっぱり素晴らしい人なのです!!まさに、広宣流布の折伏戦士。 創価学会伝統のビラ撒きとアムウェイの素晴らしさを広めることを融合させた、まさに超合理的かつ素晴らし過ぎる作戦なのです。 僕はもう、興奮してしまいました。 このビラを徳山駅前で配るとみんな世間の間違いに気づき、松村先輩に折伏されみんな有無言わずアムウェイ開始なのです。 松村先輩の作戦がうまくいくと、徳山市民が20万人としても10万人が僕らの傘下に入り売上総額は10億円を突破して、クラウンアンバサダーもすぐそこなのですよ!あぁ、これで僕もサクセスなのです。 アムウェイの素晴らしさを多くの人に広め、そして折伏し僕らは功徳まくって、成功なのですよ!!これで選挙もいっしょにきたらもう、怖いものなしなのですぅ!! 「作戦開始は明日の夜やで!!それに備えて今日はゆっくり休むでえ!!」 すごすぎです。 僕らの成功はすぐそこなのですぅ!! 今日は大変な一日でした。 もう、どこから書いていいかわからない程、、、、。 僕は今日の日の出来事の意味する事がどういうものなのか、僕は言葉一言一言を書き綴り、僕はこれからの生き方を見直さなければいけないのかもしれません。 しかし、松村先輩はその行為こそが、3流ちょうちん記事を書いている週刊誌や創価学会やアムウェイの素晴らしさに嫉妬する奴等のやっかみに過ぎないと言うのです。 でも、正直言って、僕は母の葬式の友人葬の時から、僕は創価学会や松村先輩に対して疑問を持っているのも事実なのです。 僕の疑問が本能的な直感として正しいものなのか、それとも、僕こそが3流週刊誌の洗脳の被害者なのか、やっぱりわからない。 わからないからこそ、僕は悩み考えるのです。 でも、答えが出ない日々。 こんな日々を脱出するためにも、僕は正義と真実の聖教新聞を読み、本当の客観的な視点から物事を見ようとするのに、読めば読むほど、松村先輩や創価学会が絶対に正しいと納得されられるばかり。 僕はもう、頭がおかしくなってしまいそうなのです。 だから、僕はここに今日一日の出来事を書き綴るのです。 目が覚めて、僕と松村先輩は、夜叉のメンバーを召集して、光駅前の虹ケ浜海岸に集合しました。 まだ、5月の初夏の日よりの中でしたが、さんさんと輝く太陽をバックに、僕らは特攻服を着て集合したのです。 松村先輩は太っ腹の笑みを浮かべて、僕らに渇を入れたのです。 「わしらはなー、今日、成功の為に、真の正義の為に、徳山駅前で、このビラを配り、さらなる成功を目指してがんばるんやで!」 松村先輩の気合の入った言葉に、僕らは背筋を伸ばされる気持ちで望みました。 「おーーーーーーーーーーーーっ!!」 掛け声と共に僕らは、それぞれの愛車に乗り込み、ご本尊をダッシュボードに装着して、爆音を立てながら188号線を一路、徳山駅を目指して走り出したのです。 僕はまだ車を持っていないので(アムウェイで成功したらクレスタスーパールーセントを絶対に買うのです!!)松村先輩の自慢のショッピングピンクのソアラの助手席から後ろに乗り込みました。 助手席はアムウェイ3点デモセットと、アムウェイの素晴らしさを書いたビラがいっぱいで座れなかったのです。 「松村先輩!、今日は何人くらいアムウェイの素晴らしさをわかってくれるんじゃろうね?」 「はるき!そんなもん、きまっとるで!全員やで!!全員。 まぁ、それはないにしてもな、全国1200万人の創価学会会員がおるとしてな、10人に一人は学会員やで。 それと同じくらいの確率でアムウェイの素晴らしさを理解してもらえればな、その10人に一人から、さらなる口コミでアムウェイの素晴らしさが広まって、単純計算でも10万人くらいは募れるはずやで。 ほんまやで!!信じる事こそが大切やからな!!」 「ま、松村先輩!!す、すごすごるのですぅぅ!!」 「そうやで!春樹、明日は成功祝いで、すぐに車屋いってな、春樹はすぐにセルシオ買えるで!!」 「セ、セルシオですか!!す、すごすぎるのですぅ!!!だけど、僕はクレスタでもいいんですけど、それもGX81でいいんですぅ」 「春樹、それはちゃうでぇ。 負けてなるものか、っちゅー池田先生もゆーとった勝利を目指す高い望みこそが、成功と正義の原動力やで。 やっぱセルシオやで!!俺はインフィニティQ45もエエけどな」 「ま、松村先輩!!僕は、セルシオ買うのですぅぅ!!」 僕と松村先輩は、ダライアス外伝のZUNTATAのCDを聞きながら、188号線を走り、アムウェイの素晴らしさと池田先生の世界での活躍を語りあいながら徳山に向かったのです。 徳山駅に到着しました。 あたりはすっかり薄暗くなって、そうですね夜の7時を越えていたでしょうか。 僕らは徳山駅前の駐車場に車を置き、車の中からビラをもってきました。 すると、松村先輩はトランクから拡声器を持ち出してきたのです。 これから、僕らの徳山駅前でのアムウェイの素晴らしさを伝える活動がスタートするのです!! 僕らには役割がありました。 松村先輩は拡声器でアムウェイの宣伝をする役割を担っています。 ほかの夜叉のメンバーはバックでお題目を唱えながら、3点デモをやったり、アムウェイのスターターキットにサインを受ける受付係りをやる事に決まりました。 松村先輩は根っからのエンターテイナーですから、拡声器はもちろんの事、もっと世間に素晴らしさをアピールするために、わざわざ直管マフラーのショッキングピンクのシャコタンソアラのエンジンを爆音を奏でて空ぶかしして、街行く人にアピールするのです。 もう、最高なのです!! 僕も松村先輩にまけじと、ビラを配りました。 でも、誰も相手にしてくれないのです。 もう涙が出てきそうになりました。 松村先輩も爆音をかなでて、僕らの存在をアピールしてくれているというのに、なぜか皆さんは僕らを迷惑そうな目で見ているのですよ。 そんなこまった状態に、松村先輩が拡声器で渇を入れてくれました。 「あーー、あーー、皆様!!私は皆様に訴えたい事があるのです!!」 待ってました!松村先輩の演説がスタートしたのです。 これで僕らはクラウンアンバサダーになったも同然なのです。 「皆様!!私たちは、アムウェイディストリビューターです!!アムウェイの素晴らしさを、徳山市民の皆様にご理解頂きたく参りました。 皆様、ご静聴の程、宜しくお願いいたしますっ!!」 松村先輩の一言に、徳山駅の人の流れが止まったような気がしたのです。 松村先輩の演説がスタートしたのです! 「徳山市民の皆様、今、この徳山市は未曾有の不景気の中に苦しみ喘いでいる事と思います。 下松市の再開発につれ、客波はみんな隣の町にとられ、駅ビルトークスや、みなみ銀座も過去の栄光はどこかへ、いまや悲惨な状態となっております。 思えば仏敵である自民党の亀井静香をはじめとする四月会のメンバーが的外れで、すでに解決済みの政教分離論争を公明にもちかけ、公明をはじめとする新進党を与党とさせない為に妨害工作を行っていることこそが、この不景気のはじまりなのです!これは、言うまでもなく、創価学会の素晴らしさに嫉妬した連中の的外れの誹謗中傷名誉毀損に過ぎないのですが、それはさておき、私たちはこういう構造不況を脱するために、一人一人が高い目標を持ち、そしてその目標を達成する為にもがんばっていかなければならないのですが、そういう切っ掛けというものが何処にあるかといいますと、そういうものもなかなか無いのが実情です。 それは、私の愛読する聖教新聞のコラムや求人欄を見ても明確なのですが、そういう現状に暗く悲しんでいるのも、だめなのです。 そうです!信心なのです。 自分を信じれば必ず成功し、素晴らしい明日がくる。 これは、私の尊敬する池田先生のお言葉なのですが、その池田先生のお言葉をそのまま具体化したビジネスがあるのです。 それはアムウェイです!! 皆様、アムウェイにがんばり、皆様全員が億万長者になれるのです。 そうすれば、この徳山市にも明るい明日がくるでしょう!!皆様と共に成功の道を歩む、それが私の願いであり、皆様も信じるべき明日の姿なのだと私は思うのです!!」 あぁ、松村先輩!!徳山市の不況と亀井静香の関係がさっぱり理解できないのですが、松村先輩の理路整然たる演説に僕は失禁寸前なのですよ! そんな演説の中だったでしょうか、どこかの誰かが、夜叉のメンバーと言い合いになっていました。 夜叉のメンバーはその男の首をつかみ、 「なんじゃおめー、アムウェイの素晴らしさがわからんアホはあっちいけーやー!!どーせおまえは日顕宗のやつらにきまっちょるんじゃー!」 とののしっていたのです。 大変です。 喧嘩は良くないのです。 でも、松村先輩はそのいざこざなど無視して演説を続けていたのです。 しかし、夜叉のメンバーとどこかの人(たぶん、酔っ払いだとは思うのですが)は取っ組み合いになってしまいました。 「おまえ等みたいなねずみ講狂いの馬鹿がおるけー、だめなんじゃ!」 「なにゆーちょんじゃ、馬鹿はおまえじゃ!アムウェイがなんでねずみ講なんか!!」 そういって、夜叉のメンバーはその人を取り囲んでいきなり暴行を加えはじめたのです。 大変なのです。 でも、松村先輩はこぶしを握り締めて演説を続けています。 気持ちよくなって拡声器でお題目まで唱えだしたのです。 僕は喧嘩を仲裁するためにその人の中に入っていきました。 すると、殴られたサラリーマン風の酔っ払いの人が僕の胸倉をつかんで僕をおもいっきり倒したのです。 痛かったのです。 昨日の哲さんにやられた肛門が激しく痛んだのです。 すると、その姿をみた夜叉のメンバーが僕を倒したサラリーマンに飛び蹴りを食らわしたのです。 サラリーマンは「ぐがぁ!」と言ってそこに倒れてしまいました。 すると、そのサラリーマンの仲間10人くらいが「なにやっちょんじゃー!」と言って僕らの中に飛び込んできました。 でも、松村先輩はお題目を拡声器で唱えながら「池田先生バンザーイ!アムウェイバンザーイ!!」と言っているのです。 目をつぶってこぶしを握り締めて演歌を歌う酔っ払い親父みないな顔をして、万歳三唱なのです。 一人マスゲームなのですよ!もう、北朝鮮もびっくりです。 金正日も嫉妬する創価学会の素晴らしいマスゲームなのです!あの創価学会の素晴らしさを伝えるビデオに登場した久本雅美の「池田先生バンザーイ!創価学会バンザーイ!」も真っ青の大賛美の嵐なのですよ!松村先輩は絶好調ですが、僕はけりを入れられた悔しさがふるいきれず、サラリーマンに殺人パンチを入れました!でも、残念ながら僕のパンチは猫なでパンチになってしまい、致命傷を与える事はおろか、何のダメージも与えていないのです。 大変なのです。 僕はこの事態を打開するために昔読んだ北斗の拳のことを思い出して、ケンシロウになりきり、無想転生の体制をとりました。 慈愛と贖罪の鉄建を打ち抜くのです。 すると、うしろのサラリーマンが、「こんにゃろー!」といって、手でもっていたビール瓶を僕の頭に打ち込んだのです。 「パリーン!」という劇音に僕は意識を朦朧としてしまいましたが、「やられたらやり返せ」という池田先生のお言葉を思い出し、僕もその周りにちらばったガラスの破片を思いっきりその男にぶつけてやったのですよ!!これぞまさに正義なのです!!絶対善。 悪い事をすることは悪いのですが、良いとわかっていてやらないのも悪なのです。 だから僕は報復するのです。 正義の為、池田先生のおっしゃる正義を実践する為に、僕は大反撃なのです。 そんな僕は、北斗百列拳を繰広げたのですよ。 「あたたたたたー!」と僕の鋭い猫なでパンチはサラリーマンの下腹部いわゆる陰部に直撃しました。 サラリーマンは悶絶の表情を浮かべてその場に蹲ってしまったのです。 そうなのです、創価学会とアムウェイを批判するやつらには正義の鉄建なのですよ。 力なき正義は無力なのですが、僕の拳は正義の鉄建なのです。 最高なのです!!絶対善なのですよ!あぁ!!僕はこの鉄拳をほかのやつらにも御見舞いさせようと、ほかの人間の所に飛び掛っていきまいした。 すると僕は蹲ったサラリーマンに足を引っ掛けられ、僕はよろけてしまった、おっとっとと倒れそうになってしまいましたが、なんとかふんばって倒れずにすんだのですが、その弾みで僕はなんと、松村先輩に北斗百列拳が命中してしまったのです。 しかし松村先輩と僕らの仲はおしどり夫婦も羨むすごい仲だったので松村先輩は絶対に許してくれるはずなのですが、なぜか松村先輩はこのときに限って、「なんやワレェ!何さらすんじゃ!!」と言って、拡声器で僕の脳天を急所攻撃をしたのです。 僕はフラフラになって倒れそうになったので松村先輩のズボンに藁をもすがる気持ちでのたれかかったのですが、なぜかこのときに限って松村先輩はベルトをそていなかった為に僕は松村先輩のズボンを持って、パンツとズボンをいっしょに脱がしてしまったのです。 このため、松村先輩は徳山駅の前で公衆の面前で包茎のチンコをさらしてしまったのですよ!もう、わいせつ物陳列罪なのです大変です!!徳山市の迷惑条例にひっかかってしまうのです。 松村先輩は大激怒して、車の中から消火器を取り出し、「ひひっひひいぃぃぃ!!ぶっころす!お母さんが言ってたように、僕は殺人犯になります!!」と言い出し、街行く人に無差別消火器攻撃を開始したのです!!もう、めちゃくちゃです。 徳山駅前夜の大乱闘なのです。 もう、徳山駅前では何十人という人たちが大乱闘を繰広げて大変な事になってしまったのです。 僕はもう、どうしていいかわからず、おろおろとしてしまい、とりあえず松村先輩のショッキングピンクのソアラに逃げこんだのですが、暴徒と化した徳山市民から逃げようと必死になってアクセルを踏んで逃げようとしたんですが、そのとき「あっ」と思った瞬間、僕はドライブレンジではなく、バックに入れてしまい、後ろの支柱に大激突してしまったのです。 松村先輩の大切なショッキングピンクのシャコタンソアラを大破してしまったのですよ!松村先輩は「ひひひひひーーっ!!」と取り乱しながら、僕の方を見て、「ひっひーーーぃぃ!!く、車がーーーーー!!」と絶叫して、僕の方に向かってきたのです。 僕は松村先輩に見つかると絶対に殺されると思い、こっそりと車から脱出して、僕が車をぶつけたのはなんとか見つからなかったのですが、松村先輩はこの怒りをもうあたり中にあたりまくり、夜叉のメンバーにまで暴行をふるいだしたのです。 僕は命からがら逃げ出し、こっそりと徳山駅と逆方向のおかあさんが働いていた飲み屋の方へ命からがら逃げ延びたのです。 命からがら、僕は一人で逃げ切りました。 スナックへ逃げ込んだ僕は、おかあさんの友人のママのところで保護されたのです。 そして、僕は安堵し、意識を失いました。 そうですね2時間くらいでしょうか。 2時間後、僕は目覚めました。 すると、ママは心配そうに 「さっきね、徳山駅前で暴走族の乱闘騒ぎがあったんよ。 春君もそこにおったん?」 と言ってきました。 そうです、僕もそこにいたのですが、暴走族の乱闘とは失礼なのです。 僕らはれっきとしたアムウェイディストリビューターなのですから!! 「あ、あれね、ひどいんちゃ。 松村先輩がアムウェイの素晴らしさを伝えただけなのに、変なサラリーマンが嫉妬していちゃもんつけてきたんよ!!」 僕が反論すると、ママは悲しそうに 「春君、、、、春くん、まだ、、ねずみ講や宗教やっちょったんじゃね、、、春君のおかあさんね、最後まで心配しちょったんよ、、」 と言いました。 目に涙をうかべながら、ママは続けました。 「春君のお母さんがね、おかしゅうなってからも、お母さんははるくんのことを心配しちょったんよ。 おばさんが御見舞いに行ったときもね、春君のおかあさんは、春樹は素直な子じゃけえ、いろんな悪い人らに騙されちょらんじゃろうかって心配しちょってね。 お母さんは、学会をやめたんじゃろ?学会をやめると不幸になるっちゅわれちょるけど、あんなん、だいたい、辞めた人間を学会の人らが嫌がらせするけー不幸になっちょるに決まっちょろーね!?でも、春くんのお母さんね、春君が学会やめるとみんなに嫌がらせ受けるって自分自身が体験しちょるけー、春くんにやめろっちゅーて言えんかったんよ。 じゃけぇ、春君が、家出てから松村先輩っちゅー人の家にいってから、おばさんね、ずっと春君のおかあさんから相談うけちょったんっちゃ。 春君がね、どんどんおかしゅうなるっちゅーて。 お母さんが悪かったちゅーて。 せめて創価学会やめさせて普通の職につけられるよーにお母さんがんばらんにゃいけんってゆーちょっても、あの体じゃけぇ、、、おかあさんが心配で心配で何にもできんちゅーて」 ママまで3流マスコミに洗脳されているのです。 でも、その涙をうかべた表情に僕は反論できませんでした。 そしてママは続けました。 「春君のおかあさんの葬式のときもね、おかあさんの友達の私らでお寺さんに頼んでやってもらうようにいろいろ準備したのにね、なんかわからん人らが、勝手におかあさんの遺体の服を脱がしててね、信心じゃ信心があったからエエ死に顔じゃ、これじゃけー、信心はやめられんのぅ、って笑いながらお母さんの遺体に勝手にあの人らが服をきさせてね、創価学会の人らはほんまに怖いっちゃ。 あの人ら、みんな頭がおかしいに決まっちょるっちゃ。 おばさんらお母さんの友達はね、みんな葬式のためにいろいろ準備しちょったんじゃけど、あの人らが勝手に葬式仕切ってからね、お坊さんにまで文句言っちょったんよ!!絶対に変じゃっちゃーね、創価学会ちゅーのは!!そうよ!あんたと同居しちょる松村先輩っちゅーのが勝手に、私らの葬式の準備をやめさせて、勝手に自分らで葬式をやりよったんよ!!絶対にそうっちゃ!。 春君のおかあさんは、もう、創価学会の人じゃないんじゃから、葬式くらい、おかあさんから創価学会を離してやらんと可哀想でもう、何もいえんっちゃ、、、。 」 そういえば、たしかにあの僕のお母さんの葬式はおかしかったと僕も思います。 お母さんの生前の友達より、お母さんの知らん学会の人らばっかりが葬式をやって、たしかにお坊さんは安部日顕の手先ですから呼ぶ価値などまったくないのですが、それでも、ママの言うことは頭の悪い僕にもわかるような気もするのです。 そういえば、金村のおばさんも釜山に帰る前に同じような事を言っていました。 「金村のね、春君のお父さんが死んでから、春君のおかあさんは、ずっと苦労しちょったんよ。 でもね、春君はおかあさんの苦しみやつらさをわかってあげたことあるん??ねぇ、あるん??わかっちょらんじゃろ!春君は絶対にわかっちょらんっちゃ!!」 そう、僕を厳しく呵責して、ママは泣き崩れ、僕に、「春君は罰あたりじゃ、おかあさんに謝りんさい!!」と言い、泣き崩れてしまいました。 僕はただ、よき民衆の手本となれるよう、池田先生のおっしゃる哲学を実践し、素晴らしいアムウェイとともに皆さんの明日の成功を目指してがんばっているだけで、おかあさんに何も迷惑をかけているつもりはなかったのですし、なにより創価学会をやめると7代末まで不幸になることはすでに実証されているのですから!。 しかし、僕は何も反論できず、ただ、「うん、松村先輩と相談してみるけー」と言って店をあとにするしかありませんでした。 僕は、終電で徳山駅から山陽本線に乗って光まで電車で帰りました。 しかし、松村先輩は、戻ってきていなかったのです。 KRY放送のニュースで、徳山駅で乱闘騒ぎがあった事は見ました。 逮捕者が出たとも言っていました。 でも、松村先輩は正義の人ですから、絶対に戻ってくるはずです。 そう思って松村先輩のかえりを待っていましたが、そのまま朝が来て、僕は疲れて寝てしまいました。 松村先輩が戻ってきたのは、それから数日後の事でした。 松村先輩は何もその時の状況を喋ってくれませんでした。 僕は、松村先輩が警察に連行された後、警察の人たちを折伏をして、ついでにアムウェイの素晴らしさまで伝えてきたのだと思っていたのですが、どうも、そういうわけではなく、何か組織的に僕らの徳山駅前での出来事は、「無かった事」にしてもらえたようです。 頭の悪い僕にはよくわからないのですが、松村先輩は「警察にも学会の人がいっぱいおんねん」と言ってましたので、そのあたりが関係しているのかもしれません。 とりあえず、松村先輩が戻ってきたことは大変嬉しいことなのですよ! しかし、嬉しい嬉しいと思いつつ、僕は、スナックのママが言っていたことを思い出し、やっぱり松村先輩の事を不信の目で見ているのも事実なのです。 僕は、勇気を持って、松村先輩に、これまでの不信感を正直に告白するべきなのでしょうか? 僕は池田先生のおっしゃられる事は全て正しく、世界中の識者が認める世紀の偉人だと思います。 しかし、松村先輩は、その池田先生の教えを拡大解釈し、自分の自己満足の達成のための言い訳に使っている気がするのも事実なのですよ。 僕が葬式の時の疑問をぶつけると、怒り狂って僕を殴り倒しそれ以降、全く会ってくれませんでしたし、過去から僕の疑問はほとんど「学会の活動どアムウェイに頑張ればエエんや!信心やで!」と言って、なんだかんだいいながら何も回答してくれていなかったのですよ!! 僕も陰毛がフサフサ生えた立派な大人ですから、自分で考える能力があるのです。 そういう意味でも、僕は母の葬式の際に、松村先輩の言う通りに「日顕宗の坊主に葬式任せると、動物になって生まれかわる、そやから、俺らに任せとけ」と言われて、僕は松村先輩を信じきり葬式を任せたのですが、香典は何処に行ったかぜんぜんわからず、財務管理も任せてしまって、僕の手元に残ったのは母の遺骨だけなのですよ!これはやっぱりオカシイではありませんか?? 祖母の時は、学会を辞めた母は、祖母の死に立ち合わせてもらえず、学会を辞めた母は、母の都合を無視して母が辞めた学会で、母の信じる日顕宗の葬式をあげられない。 学会は基本的に正しいのですが、それでも僕は、母の辞めた学会で葬式をあげるのが正しいとも思えないのです。 こんなことを考える僕は、もしかして、ズレているのかもしれません。 しかし、学会は善であり、絶対に正しいのは揺ぎ無い事実であれ、世の中にはいろいろな宗教があり、いろいろなかたちで葬式をあげているわけです。 たしかに、浄土真宗なんか信じていると念仏無限地獄に落ちたりして大変なわけなのですが、それでも、その宗教を信じてしまった人には、その信仰が間違っていたとしても、その信じた宗教で葬式をあげてあげるのは、間違っているのでしょうか?? 僕はもしかしたら、大変な過ちをしてしまったのかもしれません。 これは大変なのですよ! そう思うと僕はメラメラと熱いコスモがセブンセンシズを刺激して、止められなくなってきたのが分かるのです。 そう、松村先輩の行動も正しいけど、僕のこの不信感も正しいのです。 学会では、日頃から、「仏法は勝負であり、お互いの意見をぶつけ合い、お互いを高めていくことが大切なのです」といわれています。 だから、僕も仏法で勝負なのです。 ただ、仏法で勝負しても、青年教学3級の正義の松村先輩に勝てるわけがありません。 だけど、僕には僕の正義があるのです。 正義があるからこそ戦うのです。 そして、勝利するのですぅ!!いつも僕は松村先輩に歯向かうときは、おどおどとして、自分の意見を伝える事が出来ませんでした。 だから、松村先輩は、正義の愛の鞭で僕を激しく叱りつけました。 (ただ、叱るというよりは、怒り感情に任せて僕をボコボコにするといった感じですが)でも、今回は違うのですよ。 松村先輩は僕の人生観の真っ向からぶつけてくることを期待しているはずなのです。 そうすれば、松村先輩は富士の裾野のような広い心で僕を受け入れて仏法で勝負してくれるはずなのですよ! そして、この仏法と仏法のぶつかりあい、即ち、大陸をも動かす熱い折伏精神で、僕と松村先輩はお互いに高め合い、そして、人生の師である池田先生の教えに、また一歩近づく事が出来るはずなのですよ! そう、勝負なのですよ!!あぁ!池田先生は凄いのですぅ! しかし、僕の予想は最悪の形で的中し、これが僕と松村先輩の関係を決定的に破壊する事となってしまったのです。 僕が開口一番、先陣を切りました。 「ま、松村先輩、やっぱりおかしいと思うんじゃけど、、お母さんの葬式んとき、何でお母さんは創価学会じゃないのに友人葬にしたんですか!!」 松村先輩は僕の疑問に対して、ニヤニヤしながら、勝ち誇ったように、僕に切り返しました。 「あぁン?春樹、何寝言ゆーてんねん。 友人葬こそ絶対善。 信心の証。 創価の熱き正義の志やで。 お前、まだ日顕に騙されとんか?しゃーないなぁ、これ見てみ、聖教新聞やで。 日顕のアホたれ、シアトルで売春婦買うて、警察つかまっとるんやで、世紀の破廉恥坊主やで。 日本はおろか、世界の恥さらしやで!!っふっ。 嫉妬に狂って池田先生を波紋にしたクソキチガイ坊主やで。 そんな狂った第六天魔王を信じちょったらお前も地獄におちるでぇ」 あぁん!松村先輩の言ってる事はいつも絶対に正しいのですよ!しかし、僕も冷静になって松村先輩に切り返しました! 「ま、松村先輩!日顕のことはどうでもええんじゃ!お母さんの話をしちょるんじゃけぇ、話をそらさんといて下さい!」 「なんや、春樹、熱くなっとるな。 ワイのゆーことが不満か?え?なんや、ちゃんと話してみい」 「ぼ、僕はやっぱり、松村先輩を見て、そしてその延長にある池田先生を見て、日々がんばっちょるんじゃけど、じゃ、じゃけどね、僕は松村先輩はなんか違っちょるんじゃないかって最近思っちょるんちゃ。 ちゅーのもね、僕のお母さんは、学会をやめたのに、何で友人葬にしたんですか!!たとえ間違っちょっても、お母さんにはお母さんの信じる宗教で葬式をさせるべきじゃったんじゃないかと最近、思うちょるんちゃ!」 そういった瞬間松村先輩は、一見して恐い顔になってきました。 「なんや、春樹、邪教は地獄に落ちるやで、、、、。 お前のおかんは日顕に騙されて地獄におちるから、俺らがわざわざ、日顕信者を無理して友人葬にしたったのに、お前は学会の温かい気持ちがわからへんのか?えぇ??」 「そ、それは、、、じゃけど、違うっちゃ!松村先輩の考えはどっかおかしいっちゃ!!」 「何もおかしくあらへん、、お前のおかん、阿鼻叫喚地獄の中で断末魔の声をあげて死んでいったのを、俺らがお題目唱えたったから、フニャフニャとやわらかい顔になって綺麗な死に顔になったんや。 池田先生のお蔭やで。 それをなんや?お前?否定すんのか?それは池田先生をも否定することやで?これがどういう意味かわかっとんか?」 「い、いいい、池田先生は、ぼ、僕のそ、そそそ尊敬する人生の師匠ですぅ、じゃけど!じゃけど、絶対に違うっちゃ!」 そう言った瞬間、松村先輩は 「うるせえぇ、お前!」 といって、こぶしを大きく振るい上げ、僕の顔面目掛けてパンチを打ち込んできたのです!! ゴキッというニブい音がして、僕はその場に倒れた。 「ひ、ひひいっぃ!」 鼻血が止まらない。 大量に血が流れ落ちてきます。 鼻の血を袖で拭こうとして手を鼻にもっていったのですが、何か僕のはながぐにょぐにょしているのです。 鼻が骨折してしまったのですよ、あぁ!!そして、僕の意識は朦朧として倒れそうになったのを、松村先輩は僕の胸倉をつかみ 「春樹ぃ、お前は裏切り者や。 裏切り者はどうなるかわかっとるやろうなぁ?エエ?お前の田布施の実家や親戚中に、組織をあげて、お前の喪電を送ることになるんやでぇ、、ひ、ひひひひひ、、、、」 そういって僕のおなかに思いっきりケリを入れてきました。 「ぐがぁ!」 僕はうずくまり動けなくなってしまいました。 「春樹ぃ、お前のおかんはな、、、学会をやめて、不幸になったんや。 当たり前やでぇ。 学会やめたらああなるっちゅー、ほんまエエお手本なんやでぇ、、いわゆる、馬鹿や、死んで、そこらの野良犬くらいにしか生まれかわれへん、人間のクズや、、、ひひ、ひひひぃ、、、」 そういって、今度は僕の頭に力一杯、椅子を打ち込んできたのですよ!頭部から血が沢山おちてきます。 僕の顔は流血で真っ赤になってしまったのです! 「裏切りものめ、、、、池田先生に代わって、俺が、、、俺が、ひっひひいっひひひ、、、、」 僕は殺される?松村先輩に殺される??ああ、大変なのです。 僕も反撃しないと、殺されるのです。 そういう恐怖にかられた僕は松村先輩に、そこにおちて砕け散った椅子の破片を松村先輩目掛けて、おもいっきり投げつけたのです!僕の投げた椅子の破片は、松村先輩に見事に命中しました。 僕はうずくまる松村先輩に飛び掛ったのです! 「ちがうっちゃーーー!!お母さんはーー!お母さんはーー!自分の信じた道を行ったけーちゃんと来世も幸せなんっちゃーー!!お母さんの悪うゆーのは許されんっちゃーーー!!」 僕はもう、涙が止まらなかった。 そして、松村先輩への怒りも!!何故だか分からないけど!しかし、松村先輩は僕の母を冒涜しているのです!許されない事なのです。 たとえ、松村先輩が正しくて、そして松村先輩の意思こそが池田先生の総意であったとしても、死んでなお、日顕宗の信者となった母を冒涜するのは間違っているのです!! 「うきーーーーーーーーーっ!!」 僕は松村先輩に飛び掛った。 そして馬乗りになって松村先輩にパンチを繰り出した!繰り出し他のです!繰り出しまくったのですよ!! 「あやまれーーー!お母さんにあやまれーーーー!!謝れっちゃーーーー!!」 僕は怒りに任せて、松村先輩に殴りかかった!僕は池田先生に背を向け松村先輩に歯向かっていることになっているとわかっていても、僕の信心は僕の本能的忠実な怒り感情であって、これをとめる事はたとえ池田先生であっても無理なのです!! 思えば、700年前、日蓮大聖人は戒体即身成仏義をはじめとして、教機時国鈔や立正安国論など、数々の素晴らしい文献や教えを構成に残してくれた偉人なのです。 しかし、その素晴らしい思想や哲学が、700年を超えて、僕らに残してくれたものは一体何だったのでしょうか? 僕らは、この素晴らしい教えを信じれば必ず世界が平和になり、この素晴らしい教えが広まれば、創価学会に嫉妬する人間達もいなくなり、みんなが創価学会員になれば争いの無い、分け隔たりの無い、素晴らしい明日がやってくることを信じてきたのです!そのために僕らは政治部という公明党を組織して国会におくり、立正安国論に基づく素晴らしい国作りを目指して頑張ってきたのですよ!そのために、僕らは頑張って、頑張って、、、頑張ってきたのに!! 事実として、今、ここにあるのは何なんですか! 700年の時を超えて、今僕に直面したのは、日顕宗と創価学会の兄弟喧嘩ではないですか!他宗教ではなく、同じ日蓮の教えを実践する人たちが、内輪で喧嘩をしつづけているだけではないですか!! あぁ!!日蓮大聖人は、700年後の争いを予言して、あらかじめ、争いの種をまいていたということなのでしょうか!! そして、僕らはその宿命の為に、母は死んだんですか!!そして、今、こうやって、内輪で憎しみ、争い、そして傷付けあっているのですか!! そんなの、オカシイですよ!!絶対におかしいのですぅ!!どうして、お互い和解の道が開けないのですか!仏法は勝負なのですよ、議論しあってこその信心なのですよ!!それなのに、お互い誹謗中傷しあってるだけではないですか!! 絶対におかしいのですよ! ----- 第二部 完 -----.

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【ロマサガRS】ロマンシングサガ リ・ユニバース★1263【ハニバ中】

愛 を 止め て 僕 から 逃げ て 否定 し てい いよ 全部 全部

絆 絆 作:樹遠零 ・・・愛するもの・・・ もし、貴方の愛する者の命が危険に曝された時 貴方は、決断出来るでしょうか? ・・・自分の大切な一つを捧げ、彼女を救う事を・・・ そして、捧げられるでしょうか? ・・・貴方と彼女の絆を・・・ そう・・・この指輪は、それを貴方に問い掛けます ・・・真実の愛・・・ それが本当に存在するのかを確かめる為に さあ・・・貴方は・・・捧げられますか? 薄暗い部屋・・・狭き部屋。 そこに一つの机を挟み、向かい合う二人の人物。 ・・・男性と女性・・・ 香の焚かれたその部屋に、二人の会話のみが響きつづける。 「僕は・・・ライナから逃げたんです」 男性・・・年のころは16位であろうか? 多分に少年としての面影を残した、その人物が言葉を紡ぐ。 「逃げた・・・とは?」 女性・・・外見からでは年齢の判別のつかぬ、神秘的な美しさを秘めた女 性が、少年の言葉を受ける。 「ライナのことは好きですし、愛していると言っても良いと思っています。 でも、ライナの求める理想の僕の姿から、逃げたんです」 「・・・自分がそれに答えられないから?」 女性が呟き、少年が頭を垂れる。 「はい・・・」 「彼女の理想の人物になることは出来ない。 だけど、彼女はそれを求め、尽くしてくれる。 ・・・だから、辛い、苦しい・・・と?」 「・・・はい」 「そんな彼女を裏切っているような気がして、辛いのね?」 「・・・は・・・い」 少年が微かに嗚咽しているのが分かる・・・ その肩は震え、僅かに涙が頬を濡らして行く。 「そんなだから・・・僕・・・は、ライナに・・・捨てられるんです」 少年は机に額を摩り付けるように俯き、机の上を濡らして行く。 「・・・私では、貴方の悩みを救うことは出来ない。 だから、一つだけ貴方に良いものをあげる」 ことり・・・ 言葉と共に机の上に何かが置かれる。 少年は顔を上げ、その開かれた箱の中身を見、そして呟く。 「指・・・輪?」 「そう・・・指輪よ。 魔力の付加された、古のカースアイテム」 カース・・・「呪い」の言葉に、少年は過敏に反応する。 「呪い・・・!?」 「そう・・・呪いの指輪。 この指輪は、持ち主の願いを一つだけ叶えてくれる。 ・・・持ち主の愛する人を救う為の願いをね」 「愛する人の為・・・?」 「そう、そして願いを叶えるために指輪は砕け、同時に貴方から大切なもの 一つを奪って行くの。 その一つとは、貴方の愛する人との絆・・・」 「つまり・・・使ったら、その人とは・・・」 「えぇ・・・決して結ばれることは叶わなくなるわ。 ・・・それがこの指輪の「呪い」だから・・・」 最後まで話を聞き、少年の心に戸惑いの表情が生まれる。 「これを・・・僕に?」 「持って行くも、行かないも、貴方の自由。 使う場所も、使う時も、貴方自身が決め、決断しなさい。 ・・・誰も強制はしないわ」 少年は暫くの間、黙っていたが、意を決したように指輪をその手で掴む。 そして、目の前の女性と視線を合わせないようにしながら、背後の出口へ と逃げるように歩いて行く。 「・・・ありがとうございました」 少年はそう呟き、最後まで振り向かずに去っていった。 ・・・それ故に少年は気付かなかった・・・ その女性が、少年を見つめて、小さく微笑んでいた事を・・・ 「・・・次の依頼が終わったら話したい事があるわ」 ・・・昨日の朝、ライナはそう言って、宿を出ていった。 「遺跡」へと進入する為の装備調達・・・名目はそうなのだろうが、僕に はライナが出ていった気持ちは分かる。 僕と顔を合わせているのが辛かったから。 だから、ライナは逃げるように宿を飛び出していった。 彼女の話・・・恐らくはパーティーを解散し、もう二度と合わない。 ・・・そう言った内容だろう。 その理由も、訳も、良く分かっている。 僕が、彼女の理想とする人になれないから。 僕が、このままでは彼女の足手まといになる事が分かってしまったから。 そして、彼女の国の掟の為・・・ 伴侶となるべき人物以外とは旅を共にしてはならぬ。 男は女を守り、女は男を補佐せよ・・・ 魔道師で、ライナに守られてばかりの僕では、その掟、そして同じく彼女 の理想の人物には程遠い。 ・・・だから、これで終わり。 ライナへのこの感情も、今までの記憶も、全て捨てなくてはならない・・・ 何となく、手元の指輪へと視線を落とす。 やっぱり、ライナが居なくなったら、愛する人なんて居ないよ・・・ ・・・無駄になっちゃうね・・・これ。 ふと、目に涙が浮かび、慌ててそれを拭う。 ライナは男が涙を流す事を良しとしない。 軟弱だ、弱みを見せるな、と、僕にいつも言っていた。 だけど・・・それも、今日で終わり・・・ 「ミィ〜ド!!先に行くわよ」 ライナが遅れ気味の僕に声をあげる。 僕より頭一つ文大きな身長、細身ながら無駄の無い筋肉のついた身体。 美しい長髪、そして見る物を魅了させるその美貌・・・ ・・・最初から釣り合わないのは分かってた。 だから、彼女が僕をパートナーに選んだ事、そして今まで共に冒険を続け ていた事が不思議だった。 「待ってよ、すぐ行くから!!」 もう、1年になるだろうか? ライナが遅れる僕を急かし、僕がライナを追いかける。 そんな、姉弟のような関係も・・・ 「ほらっ、大した仕事じゃないんだからね。 目的の物を手に入れて、とっとと帰るわよ」 最初から僕はライナに、ほのかな恋愛感情を抱いていた。 そして、何度も聞かされた「彼女の理想」に届くように努力した。 ・・・でも、無駄だった・・・彼女の理想は、僕には遠すぎた。 「うん・・・分かってる」 目の前に「遺跡」の入り口が口を開けている。 僕は、「明かり」の魔法を唱えながら、先行するライナの後ろを小走りで 付いていった。 「ふ・・・ん? 何か、罠もないし、大した事無い依頼だったわね」 「うん、出会ったモンスターも、棲みついた奴ばっかりだったしね」 ライナの不機嫌そうな言葉に、同意しながら考える。 ・・・宝物庫の一番奥に立って、つくづく思う。 僕らがここに来るまでに出会ったのは、後からここに棲みついたであろう と思われるモンスターのみで、遺跡の番人や、トラップなどには一切出会っ ていない。 こういう未だ踏み荒らされていない遺跡で、そういう事はまず有り得ない。 だから、ライナも不機嫌であるし、僕も、最悪の何かを考え、緊張の糸を 切る事が出来ない。 「まあ、いいわ。 取りあえず、考えてても仕方ないから、用を済ませましょう」 ライナが、祭壇の上の女神像に手をかけてそう呟く。 ・・・そう、この女神像が今回の依頼の目的。 これを持ち帰る事・・・それが依頼であり、その他の宝物は僕らが自由に していい事になっている。 「・・・分かったよ、僕は袋を用意するから・・・」 周りの宝物を入れる袋を用意する為に、荷物を降ろす。 「ん、お願・・・えぇっ?」 僕に向かって肯き返そうとしたライナの言葉が驚愕のそれに変わる。 慌てて視線を上に上げると、ライナが手の中でゆっくりと崩れていく女神 像を呆然と眺めている。 「・・・それ、偽者っ!?」 どっがあぁぁぁぁぁん!! 僕が叫ぶのと、その音は、全く同時だった。 四方の部屋の隅で壁に半ば埋め込まれた形で佇んでいた石像が、一斉に生 命を持ち、壁を崩しながらゆっくりと動き出している。 「出口を・・・しまった!!」 ライナが吐き捨てるように言う。 ゴーレムの動きに合わせ、僕らの入って来た入り口は岩に塞がれてしまっ ている。 しかし、ライナはすぐさま周りを見渡し、別方向に延びるもう一つの通路 に向かって駆け出す。 「横道か・・・ミド、行くよ!!」 「うんっ」 同意し、僕はありったけの「火球」の呪文を、横道への進行方向に立ちふ さがるゴーレムに向かって、射出する。 ゴーレムは「火球」に怯み、僅かに体勢を崩す。 「・・・よしっ!!」 同時に、ライナが腰の剣を抜き放ち、ゴーレムの目の前まで一気に接近し、 ゴーレムの膝裏を剣で強打する。 かくん・・・ そんな感じでゴーレムが膝を降り、さらにライナはゴーレムのその膝を足 場に、高く跳躍する。 そして、剣をゴーレムの首筋に叩きつけ、そのままの勢いで、ゴーレムの 後頭部を蹴って、後方に着地する。 ごごうぅぅぅ・・・ん 大きな音を立て、そのゴーレムが前のめりに倒れる。 僕は、起き上がろうともがくゴーレムの横を一気に駆け抜け、ライナに引 き続いて通路に飛び込む。 ごがっ!! 僕が通路に飛び込んで一呼吸もしないうちに、背後で何かが砕けたような 音が響く。 振り向くと、ゴーレムたちがその巨体で持って、通路を破壊しながら、ゆっ くりと前進しようともがいている。 「・・・これなら、暫くは時間が稼げるね・・・」 そう考え、安堵のあまり頬を緩ませながら、前を走るライナに声をかける。 「駄目・・・嵌められたわ」 しかし、ライナは吐き捨てるように呟き、その場に留まって剣を構える。 ・・・ライナの言葉の理由は僕にもすぐにわかった。 前方の通路の影から、後方のよりは二周り小さなゴーレムが進み出てきた。 鈍く光る金属製のゴーレム・・・鉄じゃない・・・あれは? 「仕方ないわね・・・叩き潰すわよ!!」 ライナの言葉に答え、嫌な予感を感じながらも、再度「火球」の呪文を発 動する。 ライナはそれを確認し、一気にゴーレムへと接近する。 ライナに先行する「火球」は、一斉にゴーレムに襲い掛かり、そして炸裂 する。 ぴきぃぃぃぃ・・・ん!! しかし、聞こえてきたのは爆裂音ではなく、甲高い金属音だった。 ・・・それを認識したとき、目の前のゴーレムの身体を構成する金属の正 体に思い当たる。 そして、同時に、それが最悪の事態である事を認識し、思わず叫ぶ。 「ライナ!! そのゴーレム、魔法が効かない!!」 ミスリル・・・魔法を帯びた金属であり、あらゆる魔法を遮断し、そして 軽く、強靭な金属。 これにて作成されたゴーレムは、まさに最強であり、竜族ですらたった一 体で打ち滅ぼすことが可能だという。 ・・・そんなゴーレムを相手にしたら・・・幾らライナでも・・・ 「ライナぁ!!」 ・・・ごっ!! 再度、叫んだ僕の声にあわせ、鈍い音が響く。 同時に、ライナの身体が僕のすぐ傍まで吹き飛んでくる。 ・・・ライナは数度痙攣し、そして力尽きたように動かなくなった・・・ 「うぁっ・・・くぅ!!」 うめき声と共に、ライナが目を覚ます。 血を吐き、辛そうに顔をしかめてはいるが、息を吹き返したことには違い ない。 僕は、「治癒」の魔法が間に合ったこと、効果があったことに安堵する。 「ミ・・・ド・・・ここは?」 「すぐに「治癒」が効いて楽になるから黙ってて」 ライナが辛そうに言葉を発するのを、制して「治癒」ともう一つの魔法に 専念する。 ・・・しかし、ライナはすぐに「それ」に気付いたようで、慌てて身体を 起こすと、声を張り上げる。 「これは・・・「障壁」!? それに「治癒」・・・ミド、なんて無茶を!!」 ライナが叫び、僕はそのライナの生命力に驚きながらも、言葉を返す。 「ライナは死にかけてたし、動かしてる時間も無かった。 これしか無かったんだ・・・」 僕の中から急速に消えて行く「魔力」に汗を流しながら周りを見渡す。 すぐ目の前にミスリルのゴーレム、後方に宝物庫に居たゴーレム・・・通 路の前と後ろをゴーレムが囲み、目の前にある不可視の壁・・・「障壁」を 殴りつづけている。 僕は、「障壁」の展開と、ライナの「治癒」それを平行して行っている。 ・・・それがどう言うことかは、ライナも、僕もよく分かっている。 平行して二つの魔法を行使する事・・・それすらも通常以上に多大なる魔 力を消費することに加え、「障壁」の魔法は、「壁」へと加えられる衝撃に 比例して、無尽蔵に術者の「魔力」を吸い取って行く。 これを、維持しつづける・・・冗談ではなく、命に関わる行為だ。 ・・・でも、これをやめてしまえばライナが死ぬ・・・ そう思うと、やめるわけには行かなかった。 ライナを失うことが、僕には耐えられないから・・・だから・・・ 「ミド・・・やめて・・・」 ライナが涙目になっているのが分かる。 普段は気丈なライナが僕の為に流す涙・・・それが何となく嬉しかった。 自分が、ライナを守っているという事実が嬉しかった。 「大丈夫・・・ライナだけは・・・る・・・から」 「ミド?・・・ミ・・・」 自分の発しているはずの声が、一気に小さくなる。 同時に、ライナの声も遠くなっていき、視界がゆっくりと暗くなってくる。 ・・・駄目・・・かな? そう考えたところで、自分の指にはめられた指輪に気付く。 (この指輪は、持ち主の願いを一つだけ叶えてくれる。 ・・・持ち主の愛する人を救う為の願いをね) そうだ・・・これを使えば・・・ ライナだけでも・・・ (貴方から大切なもの一つを奪って行くの) ・・・関係無い。 ライナが・・・ライナが助かればそれでいい。 僕はすべてを失っても良い・・・ だからお願い・・・ライナを・・・助けて・・・ 「ミド・・・」 誰かの声が脳裏に響く。 僅かに開いた瞳に、ライナの姿が写り、僕はライナに微笑みかえす。 ・・・いや、微笑み返そうとしたけど、身体が動かなかった。 僅かに口元を動かすのが精一杯で、それ以上は身体が言う事を聞いてくれ ない。 「ミド・・・」 再びライナが僕を呼び、ゆっくりと僕に近づいてくる。 そしてゆっくりと顔が近づいてきて・・・そして、唇が触れ合う。 え・・・え・・・えぇ? ライナが・・・何、これぇ? 僕はライナの信じられない行動に混乱するが、ライナはそんな僕の反応を 楽しみながらキスを続け、たっぷりと時間が経過した後に、ゆっくりと唇を 放す。 「はふぅ・・・」 酸欠で大きく喘いでいる僕の隣で、ライナは大きく溜め息を付き、そして さらなる行動に出る。 ライナは僕の胸に手を伸ばして、軽く揉みしだく。 ・・・むにぃ・・・ と、そんな音がしたような気がして、僕の胸がたわみ、そしてその感触が 僕の身体を突き抜ける。 ・・・快感とも、痛みともつかぬその感触に、刹那の間、我を忘れそうに なるが、次の瞬間には頭の中に大きな疑問が浮かび、動かぬ首を傾げる。 ・・・何?これ・・・ そう、それが最初の感想・・・自分にあるはずの無い器官からの刺激・・・ 男である僕には無いはずの器官・・・胸、乳房の感触。 混乱する僕を尻目に、ライナは胸を揉みしだく手を止め、僕の服を脱がし にかかる。 ・・・駄目!! それだけは駄目!! そう叫ぼうと思っても、僕の口はその言葉を発してはくれない。 僕の身体は、先程までの快感に流されるまま、溜め息とも付かぬ息を吐き 続け、更なる刺激を待ち続けている。 と、そこで僕の上着が全て脱がされた。 当然、その姿はライナにも見られているはずで、僕は羞恥に顔を紅く染め るが、次の瞬間に目に入ってきたその光景に、息を呑む。 白い肌に、僅かばかりでは有るが隆起し、その存在を誇示している器官。 それは、先程までの僕の疑問を吹き飛ばしてしまうその現実。 ・・・胸がある・・・ 何で・・・男の僕に何で胸があるの? もしかして・・・これは、女性の身体・・・ ふと、そんな考えが僕の頭を通り過ぎる。 そして、そんな僕の隣で、隣のライナが上着を脱ぎ、その豊かな乳房を・・・ いや、逞しい胸板を僕の目の前に疲労する。 ・・・ライナが・・・男? しかし、ライナはそんな僕の考えなどお構い無しのようで、素っ裸になっ た僕の身体に覆い被さる。 と、そこで突然にライナの手が止る。 ・・・え?やめるの? そう考え、ライナの方に視線を移すが、すぐに今、自分が何を考えたかに 驚き、顔をさらに紅く染める。 ・・・女になっても、夢でもいい・・・ ライナが僕を求め、そして僕がライナを受け入れている。 だから、止めて欲しくない・・・最後まで・・・一つになりたい・・・ そう、それが僕の本当の願い、このまま別れてしまうのなら、ただ一つ、 思い出が欲しい・・・僕がライナを愛していたと言う、その証明を。 そして、その想いに答えるように僕の腰に手が回され、ライナと向かい合 うように抱きかかえられる。 そして、ライナと僕が互いに抱き合うような形になり、そこで時が止まる。 しかし、時は動き出さずに、暫く二人はそのままで固まる。 僕は、何時まで経ってもその先の来ない事に、少しばかりの苛立ちを感じ、 視線をライナの顔へと移動させ、そしてライナの気持ちに気が付いた。 ・・・その時、ライナは必死に何かと戦って居るみたいだった。 多分、無理やりにこうなってしまった事。 僕の同意を得られずに最後まで行こうとしている事。 そして、僕を抱きたいと衝動を押えられない事に、ライナは躊躇し、悩ん でいるみたいだった。 そして、そんなライナの気持ちが、僕には嬉しかった。 まだ、僕を大事に考えていてくれた事が嬉しかった。 だから、必死で動かない口を動かし、何とか言葉を紡いだ。 「い・・・・いよ・・・」 怖いけど・・・嫌だけど・・・ライナなら・・・良いよ・・・ それは、辛うじて発したに過ぎない言葉だったが、それでも十分にライナ には伝わったみたいだった。 ライナは弾けるように僕の方を見つめ、そして僕との視線が合うと、微笑 みながらゆっくりと肯き、そして行動に出た。 ぷちん・・・ 同時に、僕の頭の中に、何かが破れたような音が鳴り響き、そして自分が 「女」になった事を認識する。 そして、僕はそのままゆっくりと意識を失っていった。 ・・・最後に望みの叶った、その喜びに包まれながら・・・ ・・・木の天井・・・見慣れた天井・・・ 僕らの・・・泊まっていた宿の・・・天井。 意識が覚醒し、天井を見上げる僕の目に見なれた天井が映る。 柔らかいベットの感触・・・窓から入る、頬を撫でてゆく風邪の感触。 ・・・そうか、僕、助かったのか・・・ 「そう・・・助かったのよ。 おはよう・・・ミド」 すぐ側からライナの声。 「あ・・・ライナも無事だったんだ・・・」 「えぇ・・・ミドのおかげでね」 「あはっ、良かった」 ・・・うん、本当に良かった・・・ 「・・・どうしたの?」 ふと、視線を移すと、ライナの顔が真っ赤になっているのに気付き、疑問 をそのまま、ライナに投げる。 「あ・・・いや、何でもない・・・よ」 「・・・そぅ?」 小さく首を傾げて、納得出来ないまでも引き下がる。 すると、ライナはさらに顔を真っ赤にし、俯いてしまう。 「変なの・・・? んでさ、ライナ・・・何で僕たち助・・・かった・・・の・・・」 身体を起こし、ライナに向き直った所で、目に飛び込んで来たライナの姿 に言葉を失う。 「・・・な、何・・・それ?」 「あ・・・あはは・・・」 ・・・胸が無いよ・・・それと・・・それ・・・と・・・ 何とか喋ろうと口を開くが、言葉にする事が出来ない。 まず最初に、ライナの大きかった胸が無くなっていた。 そして、視線を下に降ろす僕の視界に「それ」が飛び込んでくる。 ・・・力一杯屹立した男の象徴・・・ 「それ」は服の上からでも十二分に分かるほどに、その存在感を誇示して いた。 ・・・あ・・・あぅ・・・ライナが・・・男? 思わず、目の前が暗くなり、気を失いそうになる。 しかし、次の瞬間にとある事態を思いだし、何とか踏み留まる。 「あ・・・もしかし・・・て」 思い付いた可能性を確かめる為に、自分の上着の中を覗き込んで見る。 ・・・と、そこにあった・・・ 小さくその存在を示している女性の・・・胸が。 「・・・あ、あるぅ・・・」 思わず涙目になりながら、その場で固まる。 暫く放心した後、恐る恐る自分の股間へと手を伸ばし、そして絶望する。 ・・・やっぱり・・・ないぃ・・・ 女の子・・・なの?僕・・・ 「ラ・・・ライナぁ・・・」 「・・・はっ!! あ・・・あぁ・・・何?」 放心していたのか、僕の言葉で現実に帰ってきたライナが慌てて問い返し てくる。 「あの・・・あの、何で僕が女の子なの・・・それにライナも・・・」 「ええと・・・あの遺跡でミドが気を失った後にね・・・その・・・」 ・・・遺跡で・・・僕が気を失った後・・・? 何か大切な物を忘れているような気がして、思わず考え込む。 ・・・そして、気付いた。 ぼんっ!!! そんな音を立てて、僕の顔が一気に真っ赤になる。 「あ・・・あの・・・もしかして・・・ 遺跡で・・・ライナ・・・僕の事を・・・もしかして・・・」 混乱のあまり、言葉が言葉にならない。 しかし、それでもライナには十分に通じたようで、小さく頭を垂れる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」 ・・・・・・ふえぇぇぇぇっ!! 忘れかけていた「それ」が、半ば夢だと思っていた「それ」が、現実の物 であると指摘され、頭の中が混乱し、ごちゃごちゃになる。 と、同時に、ライナの顔を、ライナの「それ」を見ている事が出来なくな り、さらに顔を真っ赤にしてライナとは反対のに顔を向ける。 「ごめん・・・寝てるミドを見てたら我慢出来なくなって・・・」 ライナが背後でぼそりと呟く。 その言葉で、夢の中の「それ」がさらに鮮明になって僕の脳裏に映り込む。 「良い・・・僕が「いいよ」って言ったんだし」 「・・・分かった」 暫くそのまま二人とも動かずに時が過ぎ、そして思い出したようにライナ が言葉を紡ぐ。 「そうだ・・・今回の依頼が終わったら、私が話したい事があるって言った よね。 あの事だけど・・・」 「・・・嫌!!」 ・・・このまま別れるなんて、絶対に嫌!! ライナのその言葉に反応し、勢い良くライナに振り向いて思わず叫ぶ。 知らずに涙が溢れ、ライナの顔をまともに見る事が出来なくなる。 諦めたはずなのに、ただ一回の「思い出」が手に入ったから、笑って受け 入れようと思っていたのに・・・ その場になって、僕の心が全ての理性を否定してしまう。 「・・・ミ・・・ド?」 突然の僕の涙に、ライナがうろたえながら僕の名を呼ぶ。 「嫌・・・嫌なの。 別れるなんて、一緒にいられないなんて、そんなの・・・嫌・・・なの」 「・・・」 「国の「掟」なんて無視して・・・む・・・し・・・」 掟・・・ (伴侶となるべき人物以外とは旅を共にしてはならぬ) (男は女を守り、女は男を補佐せよ・・・) 男は女を・・・ 男は・・・ライナ・・・女は・・・僕? ・・・つまり・・・ そこまで思い付いた所で、心の中の悲しみが霧散していく。 そうだ・・・そうなんだ・・・ 「ねえ・・・ライナっ!!」 「・・・・・・・・・は?」 数瞬前まで泣いていた僕が、突然にこにこ笑いながら話し掛けてくる現実 に付いてこれなかったライナが間抜けな声を上げる。 「ライナの国の掟って、「男は女を守り、女は男を補佐せよ」だよね?」 「う・・・ん・・・そうだけど?」 「んで、今は僕は女で、ライナは男だよね!!」 「・・・うん」 ・・・だから、僕らは一緒に居てもいいんだよね・・・ 最後の言葉を飲み込み、ライナの反応を待つ。 しかし、ライナは、まだ僕の言いたい事が分からないのか、僕の言葉にた だ黙って肯いているだけだ。 ・・・詰まんないな・・・ ・・・でも、良いや・・・ すぐに全部理解出来るから・・・ 心の中で舌をだし、「にまっ」っと微笑んでからライナに口付けする。 「だ・か・ら、責任・・・取ってね!!」 ・・・愛するもの・・・ もし、貴方が愛する者の命が危険に曝された時 貴方は、決断出来るでしょうか? ・・・自分の大切な一つを捧げ、彼女を救う事を・・・ そして、捧げられるでしょうか? ・・・貴方と彼女の絆を・・・ そう・・・この指輪は、それを貴方に問い掛けます ・・・真実の愛・・・ それが本当に存在するのかを確かめる為に さあ・・・貴方は・・・捧げられますか? ・・・そして・・・ 貴方の彼女も捧げられるでしょうか? 二人が共に、己を捨て、愛する者を救う事を決断出来るでしょうか? ・・・それが出来る二人ならば・・・ ・・・互いの為に己を捨てられる二人ならば・・・ 如何な障害も越え、結ばれる事が出来るでしょう だって、この指輪の真実の名は ・・・「永久なる絆」なのですから・・・ <後書き> どうも、始めまして、樹遠零(きおん・れい)ってものです。 ここの一連の作品群に触発されて、私も書いてみました。 まあ、正直に言うと、私の個人ページで「とらぶる・くらいしす」って、 性転換系の作品を連載してますが、あれはちょっと趣旨が違いまして・・・ ええと、この作品は、あと二つ「ライナ」と「冒頭の女性」のサイドから の作品展開を計画してます。 (台詞回しなどの矛盾点の解決の為に) さて、ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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愛のない妻とどうすればいいですか?

愛 を 止め て 僕 から 逃げ て 否定 し てい いよ 全部 全部

絆 絆 作:樹遠零 ・・・愛するもの・・・ もし、貴方の愛する者の命が危険に曝された時 貴方は、決断出来るでしょうか? ・・・自分の大切な一つを捧げ、彼女を救う事を・・・ そして、捧げられるでしょうか? ・・・貴方と彼女の絆を・・・ そう・・・この指輪は、それを貴方に問い掛けます ・・・真実の愛・・・ それが本当に存在するのかを確かめる為に さあ・・・貴方は・・・捧げられますか? 薄暗い部屋・・・狭き部屋。 そこに一つの机を挟み、向かい合う二人の人物。 ・・・男性と女性・・・ 香の焚かれたその部屋に、二人の会話のみが響きつづける。 「僕は・・・ライナから逃げたんです」 男性・・・年のころは16位であろうか? 多分に少年としての面影を残した、その人物が言葉を紡ぐ。 「逃げた・・・とは?」 女性・・・外見からでは年齢の判別のつかぬ、神秘的な美しさを秘めた女 性が、少年の言葉を受ける。 「ライナのことは好きですし、愛していると言っても良いと思っています。 でも、ライナの求める理想の僕の姿から、逃げたんです」 「・・・自分がそれに答えられないから?」 女性が呟き、少年が頭を垂れる。 「はい・・・」 「彼女の理想の人物になることは出来ない。 だけど、彼女はそれを求め、尽くしてくれる。 ・・・だから、辛い、苦しい・・・と?」 「・・・はい」 「そんな彼女を裏切っているような気がして、辛いのね?」 「・・・は・・・い」 少年が微かに嗚咽しているのが分かる・・・ その肩は震え、僅かに涙が頬を濡らして行く。 「そんなだから・・・僕・・・は、ライナに・・・捨てられるんです」 少年は机に額を摩り付けるように俯き、机の上を濡らして行く。 「・・・私では、貴方の悩みを救うことは出来ない。 だから、一つだけ貴方に良いものをあげる」 ことり・・・ 言葉と共に机の上に何かが置かれる。 少年は顔を上げ、その開かれた箱の中身を見、そして呟く。 「指・・・輪?」 「そう・・・指輪よ。 魔力の付加された、古のカースアイテム」 カース・・・「呪い」の言葉に、少年は過敏に反応する。 「呪い・・・!?」 「そう・・・呪いの指輪。 この指輪は、持ち主の願いを一つだけ叶えてくれる。 ・・・持ち主の愛する人を救う為の願いをね」 「愛する人の為・・・?」 「そう、そして願いを叶えるために指輪は砕け、同時に貴方から大切なもの 一つを奪って行くの。 その一つとは、貴方の愛する人との絆・・・」 「つまり・・・使ったら、その人とは・・・」 「えぇ・・・決して結ばれることは叶わなくなるわ。 ・・・それがこの指輪の「呪い」だから・・・」 最後まで話を聞き、少年の心に戸惑いの表情が生まれる。 「これを・・・僕に?」 「持って行くも、行かないも、貴方の自由。 使う場所も、使う時も、貴方自身が決め、決断しなさい。 ・・・誰も強制はしないわ」 少年は暫くの間、黙っていたが、意を決したように指輪をその手で掴む。 そして、目の前の女性と視線を合わせないようにしながら、背後の出口へ と逃げるように歩いて行く。 「・・・ありがとうございました」 少年はそう呟き、最後まで振り向かずに去っていった。 ・・・それ故に少年は気付かなかった・・・ その女性が、少年を見つめて、小さく微笑んでいた事を・・・ 「・・・次の依頼が終わったら話したい事があるわ」 ・・・昨日の朝、ライナはそう言って、宿を出ていった。 「遺跡」へと進入する為の装備調達・・・名目はそうなのだろうが、僕に はライナが出ていった気持ちは分かる。 僕と顔を合わせているのが辛かったから。 だから、ライナは逃げるように宿を飛び出していった。 彼女の話・・・恐らくはパーティーを解散し、もう二度と合わない。 ・・・そう言った内容だろう。 その理由も、訳も、良く分かっている。 僕が、彼女の理想とする人になれないから。 僕が、このままでは彼女の足手まといになる事が分かってしまったから。 そして、彼女の国の掟の為・・・ 伴侶となるべき人物以外とは旅を共にしてはならぬ。 男は女を守り、女は男を補佐せよ・・・ 魔道師で、ライナに守られてばかりの僕では、その掟、そして同じく彼女 の理想の人物には程遠い。 ・・・だから、これで終わり。 ライナへのこの感情も、今までの記憶も、全て捨てなくてはならない・・・ 何となく、手元の指輪へと視線を落とす。 やっぱり、ライナが居なくなったら、愛する人なんて居ないよ・・・ ・・・無駄になっちゃうね・・・これ。 ふと、目に涙が浮かび、慌ててそれを拭う。 ライナは男が涙を流す事を良しとしない。 軟弱だ、弱みを見せるな、と、僕にいつも言っていた。 だけど・・・それも、今日で終わり・・・ 「ミィ〜ド!!先に行くわよ」 ライナが遅れ気味の僕に声をあげる。 僕より頭一つ文大きな身長、細身ながら無駄の無い筋肉のついた身体。 美しい長髪、そして見る物を魅了させるその美貌・・・ ・・・最初から釣り合わないのは分かってた。 だから、彼女が僕をパートナーに選んだ事、そして今まで共に冒険を続け ていた事が不思議だった。 「待ってよ、すぐ行くから!!」 もう、1年になるだろうか? ライナが遅れる僕を急かし、僕がライナを追いかける。 そんな、姉弟のような関係も・・・ 「ほらっ、大した仕事じゃないんだからね。 目的の物を手に入れて、とっとと帰るわよ」 最初から僕はライナに、ほのかな恋愛感情を抱いていた。 そして、何度も聞かされた「彼女の理想」に届くように努力した。 ・・・でも、無駄だった・・・彼女の理想は、僕には遠すぎた。 「うん・・・分かってる」 目の前に「遺跡」の入り口が口を開けている。 僕は、「明かり」の魔法を唱えながら、先行するライナの後ろを小走りで 付いていった。 「ふ・・・ん? 何か、罠もないし、大した事無い依頼だったわね」 「うん、出会ったモンスターも、棲みついた奴ばっかりだったしね」 ライナの不機嫌そうな言葉に、同意しながら考える。 ・・・宝物庫の一番奥に立って、つくづく思う。 僕らがここに来るまでに出会ったのは、後からここに棲みついたであろう と思われるモンスターのみで、遺跡の番人や、トラップなどには一切出会っ ていない。 こういう未だ踏み荒らされていない遺跡で、そういう事はまず有り得ない。 だから、ライナも不機嫌であるし、僕も、最悪の何かを考え、緊張の糸を 切る事が出来ない。 「まあ、いいわ。 取りあえず、考えてても仕方ないから、用を済ませましょう」 ライナが、祭壇の上の女神像に手をかけてそう呟く。 ・・・そう、この女神像が今回の依頼の目的。 これを持ち帰る事・・・それが依頼であり、その他の宝物は僕らが自由に していい事になっている。 「・・・分かったよ、僕は袋を用意するから・・・」 周りの宝物を入れる袋を用意する為に、荷物を降ろす。 「ん、お願・・・えぇっ?」 僕に向かって肯き返そうとしたライナの言葉が驚愕のそれに変わる。 慌てて視線を上に上げると、ライナが手の中でゆっくりと崩れていく女神 像を呆然と眺めている。 「・・・それ、偽者っ!?」 どっがあぁぁぁぁぁん!! 僕が叫ぶのと、その音は、全く同時だった。 四方の部屋の隅で壁に半ば埋め込まれた形で佇んでいた石像が、一斉に生 命を持ち、壁を崩しながらゆっくりと動き出している。 「出口を・・・しまった!!」 ライナが吐き捨てるように言う。 ゴーレムの動きに合わせ、僕らの入って来た入り口は岩に塞がれてしまっ ている。 しかし、ライナはすぐさま周りを見渡し、別方向に延びるもう一つの通路 に向かって駆け出す。 「横道か・・・ミド、行くよ!!」 「うんっ」 同意し、僕はありったけの「火球」の呪文を、横道への進行方向に立ちふ さがるゴーレムに向かって、射出する。 ゴーレムは「火球」に怯み、僅かに体勢を崩す。 「・・・よしっ!!」 同時に、ライナが腰の剣を抜き放ち、ゴーレムの目の前まで一気に接近し、 ゴーレムの膝裏を剣で強打する。 かくん・・・ そんな感じでゴーレムが膝を降り、さらにライナはゴーレムのその膝を足 場に、高く跳躍する。 そして、剣をゴーレムの首筋に叩きつけ、そのままの勢いで、ゴーレムの 後頭部を蹴って、後方に着地する。 ごごうぅぅぅ・・・ん 大きな音を立て、そのゴーレムが前のめりに倒れる。 僕は、起き上がろうともがくゴーレムの横を一気に駆け抜け、ライナに引 き続いて通路に飛び込む。 ごがっ!! 僕が通路に飛び込んで一呼吸もしないうちに、背後で何かが砕けたような 音が響く。 振り向くと、ゴーレムたちがその巨体で持って、通路を破壊しながら、ゆっ くりと前進しようともがいている。 「・・・これなら、暫くは時間が稼げるね・・・」 そう考え、安堵のあまり頬を緩ませながら、前を走るライナに声をかける。 「駄目・・・嵌められたわ」 しかし、ライナは吐き捨てるように呟き、その場に留まって剣を構える。 ・・・ライナの言葉の理由は僕にもすぐにわかった。 前方の通路の影から、後方のよりは二周り小さなゴーレムが進み出てきた。 鈍く光る金属製のゴーレム・・・鉄じゃない・・・あれは? 「仕方ないわね・・・叩き潰すわよ!!」 ライナの言葉に答え、嫌な予感を感じながらも、再度「火球」の呪文を発 動する。 ライナはそれを確認し、一気にゴーレムへと接近する。 ライナに先行する「火球」は、一斉にゴーレムに襲い掛かり、そして炸裂 する。 ぴきぃぃぃぃ・・・ん!! しかし、聞こえてきたのは爆裂音ではなく、甲高い金属音だった。 ・・・それを認識したとき、目の前のゴーレムの身体を構成する金属の正 体に思い当たる。 そして、同時に、それが最悪の事態である事を認識し、思わず叫ぶ。 「ライナ!! そのゴーレム、魔法が効かない!!」 ミスリル・・・魔法を帯びた金属であり、あらゆる魔法を遮断し、そして 軽く、強靭な金属。 これにて作成されたゴーレムは、まさに最強であり、竜族ですらたった一 体で打ち滅ぼすことが可能だという。 ・・・そんなゴーレムを相手にしたら・・・幾らライナでも・・・ 「ライナぁ!!」 ・・・ごっ!! 再度、叫んだ僕の声にあわせ、鈍い音が響く。 同時に、ライナの身体が僕のすぐ傍まで吹き飛んでくる。 ・・・ライナは数度痙攣し、そして力尽きたように動かなくなった・・・ 「うぁっ・・・くぅ!!」 うめき声と共に、ライナが目を覚ます。 血を吐き、辛そうに顔をしかめてはいるが、息を吹き返したことには違い ない。 僕は、「治癒」の魔法が間に合ったこと、効果があったことに安堵する。 「ミ・・・ド・・・ここは?」 「すぐに「治癒」が効いて楽になるから黙ってて」 ライナが辛そうに言葉を発するのを、制して「治癒」ともう一つの魔法に 専念する。 ・・・しかし、ライナはすぐに「それ」に気付いたようで、慌てて身体を 起こすと、声を張り上げる。 「これは・・・「障壁」!? それに「治癒」・・・ミド、なんて無茶を!!」 ライナが叫び、僕はそのライナの生命力に驚きながらも、言葉を返す。 「ライナは死にかけてたし、動かしてる時間も無かった。 これしか無かったんだ・・・」 僕の中から急速に消えて行く「魔力」に汗を流しながら周りを見渡す。 すぐ目の前にミスリルのゴーレム、後方に宝物庫に居たゴーレム・・・通 路の前と後ろをゴーレムが囲み、目の前にある不可視の壁・・・「障壁」を 殴りつづけている。 僕は、「障壁」の展開と、ライナの「治癒」それを平行して行っている。 ・・・それがどう言うことかは、ライナも、僕もよく分かっている。 平行して二つの魔法を行使する事・・・それすらも通常以上に多大なる魔 力を消費することに加え、「障壁」の魔法は、「壁」へと加えられる衝撃に 比例して、無尽蔵に術者の「魔力」を吸い取って行く。 これを、維持しつづける・・・冗談ではなく、命に関わる行為だ。 ・・・でも、これをやめてしまえばライナが死ぬ・・・ そう思うと、やめるわけには行かなかった。 ライナを失うことが、僕には耐えられないから・・・だから・・・ 「ミド・・・やめて・・・」 ライナが涙目になっているのが分かる。 普段は気丈なライナが僕の為に流す涙・・・それが何となく嬉しかった。 自分が、ライナを守っているという事実が嬉しかった。 「大丈夫・・・ライナだけは・・・る・・・から」 「ミド?・・・ミ・・・」 自分の発しているはずの声が、一気に小さくなる。 同時に、ライナの声も遠くなっていき、視界がゆっくりと暗くなってくる。 ・・・駄目・・・かな? そう考えたところで、自分の指にはめられた指輪に気付く。 (この指輪は、持ち主の願いを一つだけ叶えてくれる。 ・・・持ち主の愛する人を救う為の願いをね) そうだ・・・これを使えば・・・ ライナだけでも・・・ (貴方から大切なもの一つを奪って行くの) ・・・関係無い。 ライナが・・・ライナが助かればそれでいい。 僕はすべてを失っても良い・・・ だからお願い・・・ライナを・・・助けて・・・ 「ミド・・・」 誰かの声が脳裏に響く。 僅かに開いた瞳に、ライナの姿が写り、僕はライナに微笑みかえす。 ・・・いや、微笑み返そうとしたけど、身体が動かなかった。 僅かに口元を動かすのが精一杯で、それ以上は身体が言う事を聞いてくれ ない。 「ミド・・・」 再びライナが僕を呼び、ゆっくりと僕に近づいてくる。 そしてゆっくりと顔が近づいてきて・・・そして、唇が触れ合う。 え・・・え・・・えぇ? ライナが・・・何、これぇ? 僕はライナの信じられない行動に混乱するが、ライナはそんな僕の反応を 楽しみながらキスを続け、たっぷりと時間が経過した後に、ゆっくりと唇を 放す。 「はふぅ・・・」 酸欠で大きく喘いでいる僕の隣で、ライナは大きく溜め息を付き、そして さらなる行動に出る。 ライナは僕の胸に手を伸ばして、軽く揉みしだく。 ・・・むにぃ・・・ と、そんな音がしたような気がして、僕の胸がたわみ、そしてその感触が 僕の身体を突き抜ける。 ・・・快感とも、痛みともつかぬその感触に、刹那の間、我を忘れそうに なるが、次の瞬間には頭の中に大きな疑問が浮かび、動かぬ首を傾げる。 ・・・何?これ・・・ そう、それが最初の感想・・・自分にあるはずの無い器官からの刺激・・・ 男である僕には無いはずの器官・・・胸、乳房の感触。 混乱する僕を尻目に、ライナは胸を揉みしだく手を止め、僕の服を脱がし にかかる。 ・・・駄目!! それだけは駄目!! そう叫ぼうと思っても、僕の口はその言葉を発してはくれない。 僕の身体は、先程までの快感に流されるまま、溜め息とも付かぬ息を吐き 続け、更なる刺激を待ち続けている。 と、そこで僕の上着が全て脱がされた。 当然、その姿はライナにも見られているはずで、僕は羞恥に顔を紅く染め るが、次の瞬間に目に入ってきたその光景に、息を呑む。 白い肌に、僅かばかりでは有るが隆起し、その存在を誇示している器官。 それは、先程までの僕の疑問を吹き飛ばしてしまうその現実。 ・・・胸がある・・・ 何で・・・男の僕に何で胸があるの? もしかして・・・これは、女性の身体・・・ ふと、そんな考えが僕の頭を通り過ぎる。 そして、そんな僕の隣で、隣のライナが上着を脱ぎ、その豊かな乳房を・・・ いや、逞しい胸板を僕の目の前に疲労する。 ・・・ライナが・・・男? しかし、ライナはそんな僕の考えなどお構い無しのようで、素っ裸になっ た僕の身体に覆い被さる。 と、そこで突然にライナの手が止る。 ・・・え?やめるの? そう考え、ライナの方に視線を移すが、すぐに今、自分が何を考えたかに 驚き、顔をさらに紅く染める。 ・・・女になっても、夢でもいい・・・ ライナが僕を求め、そして僕がライナを受け入れている。 だから、止めて欲しくない・・・最後まで・・・一つになりたい・・・ そう、それが僕の本当の願い、このまま別れてしまうのなら、ただ一つ、 思い出が欲しい・・・僕がライナを愛していたと言う、その証明を。 そして、その想いに答えるように僕の腰に手が回され、ライナと向かい合 うように抱きかかえられる。 そして、ライナと僕が互いに抱き合うような形になり、そこで時が止まる。 しかし、時は動き出さずに、暫く二人はそのままで固まる。 僕は、何時まで経ってもその先の来ない事に、少しばかりの苛立ちを感じ、 視線をライナの顔へと移動させ、そしてライナの気持ちに気が付いた。 ・・・その時、ライナは必死に何かと戦って居るみたいだった。 多分、無理やりにこうなってしまった事。 僕の同意を得られずに最後まで行こうとしている事。 そして、僕を抱きたいと衝動を押えられない事に、ライナは躊躇し、悩ん でいるみたいだった。 そして、そんなライナの気持ちが、僕には嬉しかった。 まだ、僕を大事に考えていてくれた事が嬉しかった。 だから、必死で動かない口を動かし、何とか言葉を紡いだ。 「い・・・・いよ・・・」 怖いけど・・・嫌だけど・・・ライナなら・・・良いよ・・・ それは、辛うじて発したに過ぎない言葉だったが、それでも十分にライナ には伝わったみたいだった。 ライナは弾けるように僕の方を見つめ、そして僕との視線が合うと、微笑 みながらゆっくりと肯き、そして行動に出た。 ぷちん・・・ 同時に、僕の頭の中に、何かが破れたような音が鳴り響き、そして自分が 「女」になった事を認識する。 そして、僕はそのままゆっくりと意識を失っていった。 ・・・最後に望みの叶った、その喜びに包まれながら・・・ ・・・木の天井・・・見慣れた天井・・・ 僕らの・・・泊まっていた宿の・・・天井。 意識が覚醒し、天井を見上げる僕の目に見なれた天井が映る。 柔らかいベットの感触・・・窓から入る、頬を撫でてゆく風邪の感触。 ・・・そうか、僕、助かったのか・・・ 「そう・・・助かったのよ。 おはよう・・・ミド」 すぐ側からライナの声。 「あ・・・ライナも無事だったんだ・・・」 「えぇ・・・ミドのおかげでね」 「あはっ、良かった」 ・・・うん、本当に良かった・・・ 「・・・どうしたの?」 ふと、視線を移すと、ライナの顔が真っ赤になっているのに気付き、疑問 をそのまま、ライナに投げる。 「あ・・・いや、何でもない・・・よ」 「・・・そぅ?」 小さく首を傾げて、納得出来ないまでも引き下がる。 すると、ライナはさらに顔を真っ赤にし、俯いてしまう。 「変なの・・・? んでさ、ライナ・・・何で僕たち助・・・かった・・・の・・・」 身体を起こし、ライナに向き直った所で、目に飛び込んで来たライナの姿 に言葉を失う。 「・・・な、何・・・それ?」 「あ・・・あはは・・・」 ・・・胸が無いよ・・・それと・・・それ・・・と・・・ 何とか喋ろうと口を開くが、言葉にする事が出来ない。 まず最初に、ライナの大きかった胸が無くなっていた。 そして、視線を下に降ろす僕の視界に「それ」が飛び込んでくる。 ・・・力一杯屹立した男の象徴・・・ 「それ」は服の上からでも十二分に分かるほどに、その存在感を誇示して いた。 ・・・あ・・・あぅ・・・ライナが・・・男? 思わず、目の前が暗くなり、気を失いそうになる。 しかし、次の瞬間にとある事態を思いだし、何とか踏み留まる。 「あ・・・もしかし・・・て」 思い付いた可能性を確かめる為に、自分の上着の中を覗き込んで見る。 ・・・と、そこにあった・・・ 小さくその存在を示している女性の・・・胸が。 「・・・あ、あるぅ・・・」 思わず涙目になりながら、その場で固まる。 暫く放心した後、恐る恐る自分の股間へと手を伸ばし、そして絶望する。 ・・・やっぱり・・・ないぃ・・・ 女の子・・・なの?僕・・・ 「ラ・・・ライナぁ・・・」 「・・・はっ!! あ・・・あぁ・・・何?」 放心していたのか、僕の言葉で現実に帰ってきたライナが慌てて問い返し てくる。 「あの・・・あの、何で僕が女の子なの・・・それにライナも・・・」 「ええと・・・あの遺跡でミドが気を失った後にね・・・その・・・」 ・・・遺跡で・・・僕が気を失った後・・・? 何か大切な物を忘れているような気がして、思わず考え込む。 ・・・そして、気付いた。 ぼんっ!!! そんな音を立てて、僕の顔が一気に真っ赤になる。 「あ・・・あの・・・もしかして・・・ 遺跡で・・・ライナ・・・僕の事を・・・もしかして・・・」 混乱のあまり、言葉が言葉にならない。 しかし、それでもライナには十分に通じたようで、小さく頭を垂れる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」 ・・・・・・ふえぇぇぇぇっ!! 忘れかけていた「それ」が、半ば夢だと思っていた「それ」が、現実の物 であると指摘され、頭の中が混乱し、ごちゃごちゃになる。 と、同時に、ライナの顔を、ライナの「それ」を見ている事が出来なくな り、さらに顔を真っ赤にしてライナとは反対のに顔を向ける。 「ごめん・・・寝てるミドを見てたら我慢出来なくなって・・・」 ライナが背後でぼそりと呟く。 その言葉で、夢の中の「それ」がさらに鮮明になって僕の脳裏に映り込む。 「良い・・・僕が「いいよ」って言ったんだし」 「・・・分かった」 暫くそのまま二人とも動かずに時が過ぎ、そして思い出したようにライナ が言葉を紡ぐ。 「そうだ・・・今回の依頼が終わったら、私が話したい事があるって言った よね。 あの事だけど・・・」 「・・・嫌!!」 ・・・このまま別れるなんて、絶対に嫌!! ライナのその言葉に反応し、勢い良くライナに振り向いて思わず叫ぶ。 知らずに涙が溢れ、ライナの顔をまともに見る事が出来なくなる。 諦めたはずなのに、ただ一回の「思い出」が手に入ったから、笑って受け 入れようと思っていたのに・・・ その場になって、僕の心が全ての理性を否定してしまう。 「・・・ミ・・・ド?」 突然の僕の涙に、ライナがうろたえながら僕の名を呼ぶ。 「嫌・・・嫌なの。 別れるなんて、一緒にいられないなんて、そんなの・・・嫌・・・なの」 「・・・」 「国の「掟」なんて無視して・・・む・・・し・・・」 掟・・・ (伴侶となるべき人物以外とは旅を共にしてはならぬ) (男は女を守り、女は男を補佐せよ・・・) 男は女を・・・ 男は・・・ライナ・・・女は・・・僕? ・・・つまり・・・ そこまで思い付いた所で、心の中の悲しみが霧散していく。 そうだ・・・そうなんだ・・・ 「ねえ・・・ライナっ!!」 「・・・・・・・・・は?」 数瞬前まで泣いていた僕が、突然にこにこ笑いながら話し掛けてくる現実 に付いてこれなかったライナが間抜けな声を上げる。 「ライナの国の掟って、「男は女を守り、女は男を補佐せよ」だよね?」 「う・・・ん・・・そうだけど?」 「んで、今は僕は女で、ライナは男だよね!!」 「・・・うん」 ・・・だから、僕らは一緒に居てもいいんだよね・・・ 最後の言葉を飲み込み、ライナの反応を待つ。 しかし、ライナは、まだ僕の言いたい事が分からないのか、僕の言葉にた だ黙って肯いているだけだ。 ・・・詰まんないな・・・ ・・・でも、良いや・・・ すぐに全部理解出来るから・・・ 心の中で舌をだし、「にまっ」っと微笑んでからライナに口付けする。 「だ・か・ら、責任・・・取ってね!!」 ・・・愛するもの・・・ もし、貴方が愛する者の命が危険に曝された時 貴方は、決断出来るでしょうか? ・・・自分の大切な一つを捧げ、彼女を救う事を・・・ そして、捧げられるでしょうか? ・・・貴方と彼女の絆を・・・ そう・・・この指輪は、それを貴方に問い掛けます ・・・真実の愛・・・ それが本当に存在するのかを確かめる為に さあ・・・貴方は・・・捧げられますか? ・・・そして・・・ 貴方の彼女も捧げられるでしょうか? 二人が共に、己を捨て、愛する者を救う事を決断出来るでしょうか? ・・・それが出来る二人ならば・・・ ・・・互いの為に己を捨てられる二人ならば・・・ 如何な障害も越え、結ばれる事が出来るでしょう だって、この指輪の真実の名は ・・・「永久なる絆」なのですから・・・ <後書き> どうも、始めまして、樹遠零(きおん・れい)ってものです。 ここの一連の作品群に触発されて、私も書いてみました。 まあ、正直に言うと、私の個人ページで「とらぶる・くらいしす」って、 性転換系の作品を連載してますが、あれはちょっと趣旨が違いまして・・・ ええと、この作品は、あと二つ「ライナ」と「冒頭の女性」のサイドから の作品展開を計画してます。 (台詞回しなどの矛盾点の解決の為に) さて、ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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